(54)見覚え ページ13
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「此の女が犯人なのかい?」
「はい、間違いないかと。既に国木田さんが現場を張り込んでいます」
「ふーん。太宰、見覚えは?」
与謝野が潤一郎の持ってきた写真を取り、太宰に見せる。
其れを見た太宰はうーん…と首を捻った。
「有る様な無い様な…」
「遣えないねェ全く。抑々アンタが持ち込んだ事件なのに」
曖昧な返しをする太宰に呆れて溜め息を吐く与謝野。Aは其の手元に有る写真を見て小さく声を上げた。
「何か知っているんですか?」
其れに気付いた潤一郎が声を掛けると、Aは額に手を当てて考える素振りを見せる。
そして数分後、『あっ』とまた声を上げた。
『あー…えーと……此の前仕事で会った人』
「そうなんですか。其の時に何か変わった感じとかありました?」
『いや、特に…?』
「?そうですか」
写真の女はつい最近潰した組織の首領夫人だ。
変わった感じも何も、私が夫を殺した挙句
怨む理由は充分にある…が、
『其れの何が太宰と関係してるんだ…?』
「嗚呼、思い出したよ!彼女、私が此の前助けた女性だ!」
「「『…は??』」」
皆一斉に間抜けな声を上げた。
「どういう事です、太宰さん」
「彼女が道端で苦しんでいた所に偶然通り掛かったのだよ」
なるほど。私の見せた夢で藻掻き苦しんでいる所に通り掛かった太宰が彼女に触れ、異能が解けたのか。
つい即死する夢で無く
つまり彼女は太宰に一目惚れとやらをしたのだろう。そして太宰と一緒に居たのが偶然にも自分を痛い目にあわせた私だったわけだ。
でもアレは計画的犯行だったし……
『…あ、路地裏で会った男とグルか』
「え?」
「路地裏…?」
此方を向いた潤一郎と与謝野に私は答えた。
『前に路地裏で男に人質に遣われたんです。其の時も太宰…さんが助けてくれて』
「なるほど。其の男もグルだったのか」
納得したように江戸川が頷いた。
瞬間、デスクの電話のベルが鳴り響く。
「はい、え、其れは本当ですか?!」
「どうしたんだい」
真逆こんなに事が順調に行くとは誰も思ってなかっただろう。
「…早速彼女を見つけたそうです」
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ヤマダノオロチ(プロフ) - Yuukiさん» ありがとうございます!やっと構想がまとまってきました。これからもよろしくお願い致します! (2017年2月18日 23時) (レス) id: b2832ff97e (このIDを非表示/違反報告)
Yuuki(プロフ) - とても面白かったです!スランプで大変だと思いますが、これからも頑張ってください!応援してます!! (2017年2月18日 23時) (レス) id: 3720d37733 (このIDを非表示/違反報告)
ヤマダノオロチ(プロフ) - 天さんさん» コメントありがとうございます!上から目線だなんてそんな事無いですよ!?お褒めに預かり光栄です(>_<)最近はラブソングばっか聴いてて、主と中也くっつけたい〜とか考えてます(笑)これからも頑張ります! (2017年2月14日 20時) (レス) id: b2832ff97e (このIDを非表示/違反報告)
天さん - う、上から目線で失礼しましたぁああッ!! (2017年2月14日 19時) (レス) id: 6b9cd4fe2d (このIDを非表示/違反報告)
天さん - スランプ大変ですよね…文章とか読みやすくて好きです!頑張ってください(*´ω`*)ちなみに、私はスランプの時は曲を聞いてます。曲聞いてるとネタがポンポン出てきますので…!これからも応援してます(´˘`*) (2017年2月14日 19時) (レス) id: 6b9cd4fe2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヤマダノオロチ | 作成日時:2016年9月4日 20時