(53)If not coming,look for it. ページ12
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その頃、マフィア内のとある会議室にて。
「……来ないねぇ…」
「来ないのう…」
ポートマフィアの長、森鷗外と幹部の尾崎紅葉がほぼ同時に言葉を漏らした。
少し暇ができたのでこうして2人で茶でも飲みにと集まったわけだが、あと1人足りない。
正確に言えば2人いないのだが、今は長期出張の最中なので仕方ない。
「彼奴があの阿呆相手に食い下がるとも思えんしな」
「行かせた私が言うのもなんだけど、さっさと帰ってくると思っていたんだがね」
「電話にも出ないのかえ?」
「何度かけても駄目だねぇ」
「リンタロウからの着信だからじゃないの?」
床に寝そべりながら絵を書いていたエリスが、その手に持ったクレヨンを弄りながら言った。
「いくらA君でも其れは無い…筈だよ」
何故か自信なさげに言う森だが、それには尾崎も同意した。
「面倒臭がりに見えてそう言う処はしっかりしておるからの…」
話題を振ったエリス本人は会話に興味が無くなったのかお絵描きを再開していた。
森と尾崎が考え込むように黙ると、部屋にノックの音が響いた。
「入り給え」
「はい、失礼します」
「おや、立原ではないか」
「お疲れ様です。今回の件の…」
立原が別件の報告をしようとした時、森がふと何か思い付いたように「そうだ」と人差し指を立てた。
立原は言葉を止めて森の話を聞く。
「立原君、A君が今日何処に行く予定だったか聞いていないかね?」
立原とAが多少親しい仲なのを知っているのだろう。
その質問をされた理由を立原は不思議に思ったが、質問に答えた。
「はい。行きつけの喫茶店に行くと…あまり機嫌の良さそうな顔ではありませんでしたが」
「ハハッ、そうだろうのう」
「さっき任務を終えたばかりで悪いが、今頼れるのは君達しかいない」
只事ではない空気を感じたのか、立原の喉がゴクリと音を立てた。
「その喫茶店の場所は知っているかい?」
「住所は控えてあります」
「その近辺を徹底的に洗い給え。A君に関わった人物に片っ端から彼女について聞くンだ」
「Aさんに、何か?」
「いや何、大した事ではないのだがね。連絡がつかなくて心配だから捜してほしいだけなのだよ」
「承知致しました。直ぐに現場へ向かいます」
立原が去った後の部屋で、上手く描けなかったのか、エリスが紙をクシャクシャと丸めて森へ投げつけた。
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ヤマダノオロチ(プロフ) - Yuukiさん» ありがとうございます!やっと構想がまとまってきました。これからもよろしくお願い致します! (2017年2月18日 23時) (レス) id: b2832ff97e (このIDを非表示/違反報告)
Yuuki(プロフ) - とても面白かったです!スランプで大変だと思いますが、これからも頑張ってください!応援してます!! (2017年2月18日 23時) (レス) id: 3720d37733 (このIDを非表示/違反報告)
ヤマダノオロチ(プロフ) - 天さんさん» コメントありがとうございます!上から目線だなんてそんな事無いですよ!?お褒めに預かり光栄です(>_<)最近はラブソングばっか聴いてて、主と中也くっつけたい〜とか考えてます(笑)これからも頑張ります! (2017年2月14日 20時) (レス) id: b2832ff97e (このIDを非表示/違反報告)
天さん - う、上から目線で失礼しましたぁああッ!! (2017年2月14日 19時) (レス) id: 6b9cd4fe2d (このIDを非表示/違反報告)
天さん - スランプ大変ですよね…文章とか読みやすくて好きです!頑張ってください(*´ω`*)ちなみに、私はスランプの時は曲を聞いてます。曲聞いてるとネタがポンポン出てきますので…!これからも応援してます(´˘`*) (2017年2月14日 19時) (レス) id: 6b9cd4fe2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヤマダノオロチ | 作成日時:2016年9月4日 20時