きっと其の五十八 ページ8
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「オイ、開けろ！A！！」
黒い革手袋の拳が力強く扉を叩く。
こんな扉、本来ならば一発で穴を空けられるものの今回はそうはいかなかった。
「A！」
「……来ないでください。またいつ発動するか判らない」
「何がだよ！兎に角話させろ！！」
初めて彼女を怒鳴った。
では何故彼女を怒鳴る事になったのかといえば、それは今朝の話になる＿＿＿＿＿
「中原幹部、Aさんを見ませんでしたか？」
時計の針が指す時刻は10時。いつものAなら疾っくに出勤しているはずの時間だった。
「用があったのですが執務室に居らず、幹部の所に居られるのかと思ったのですが……」
「今日はまだ見てねえな。黒蜥蜴や樋口の周りは探したか？」
「いえ、これから訪ねようかと」
「そうか。本人に連絡してみるから、其方を探しておいてくれ」
「すみません、よろしくお願い致します」
彼が退出したのを見送ると、中原はポケットから携帯電話を取り出しAへ電話を掛けた。
何回もコール音が響くがやがて『お掛けになった電話をお呼び出ししましたが……』と機械音声が告げる。
その台詞を遮ってもう一度掛け直すが、結果は同じだった。
諦めの1回を掛けた所で遂に繋がったのだが、其処から聞こえる声は聞いたことないほど暗い声。
『……もしもし』
「A？お前今何処に居る」
『自宅です。すみません……少し、体調が悪くて』
立原の報告だと、昨日は食事したあと彼が家まで送り届けたはずだった。立原が知る限りでは酒は飲んでいなかったというし、風邪だろうか。
「そうか。風邪でも引いたのか？」
『まあ……そんなところです……』
明らかにいつもと様子が違う。
体調が悪いなら当然かもしれないが、それにしては先程から受け応えが変だ。
まるで何かはぐらかしているような。
お大事にな、と電話を切り、中原は椅子から立ち上がる。すると丁度黒服が部屋に戻ってきた。
「悪い、少し出かける」
そう言い残してマフィアを出てきたというわけで＿＿＿つまり、現在彼はAの自宅の扉の前に居る。
開ける開けないの押し問答を続けること早十数分。頭に上った血を冷ますように、中原は扉に凭れて腰を下ろす。
「……なァ、どうしたんだよ。風邪じゃねえだろ。もう開けなくてもいいから、教えてくれよ」
独り言にも聞こえる問い掛けに、独り言にも聞こえる音量で返事が返ってきた。
「……異能が、勝手に発動したんです」
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ヤマダノオロチ(プロフ) - カンナさん» ちょっと……涙が出そうです……ありがとうございます。お待たせしました(> <) (2020年6月16日 19時) (
レス) id: 20ed7c05bd (このIDを非表示/違反報告)
カンナ(プロフ) - 初コメ失礼します。更新楽しみにしていました。おかえりなさい(*´ω`*) (2020年6月16日 18時) (レス) id: 5ade983ea5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆのみ | 作成日時：2019年5月11日 13時
