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きっと其の五 ページ5

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今日の任務は何時も通り、敵の殲滅。超武闘派の黒蜥蜴に回ってくる仕事なんて大体そんなもんだ。

得物である散弾銃(ショットガン)をケースに入れて背負い、予備の拳銃を腰のホルスターへ挿した。準備万端。

「行くぞ」

広津さんの言葉で全員が動き出す。私も足を踏み出すと、隣に立原が並んできた。

「調子はどうだ、A?」
「別に普通。君は?」
「はっ、絶好調だ」
「へえ。昨日こっ酷く負けたって聞いたけど」
「んなっ…!それとこれは別だろ!?」

さあね、と曖昧に返事をしてギャーギャーとやっているうちに、目的地である湾岸倉庫へ着く。

今日も今日とて裏切り者殺しだ。
この運命を辿る密輸業者は武器を横流ししていたり、他の組織へ機密を洩らしていたり。まァ、皆罪状はほぼほぼ同じなのだ。

広津さんの吹き飛ばした入り口から次々へと中へ突入して、片っ端から弾丸を撃ち込んでいく。

「………」

前を進んでいた銀が、片手で後続の私達を制した。

「………」
「…銀?」
「………」

何も云わない侭、銀は左腕を下ろそうとしない。私もそれ以上は何も云わずに扉を見つめた。

「……!離れろ!!」

時限式か何かの爆弾だろうか。その正体に気付いた私が叫んだ時には、カチッという音がして、周囲は轟音と煙に覆われた。

くそ、もう少し、早く気付くことができれば…

「銀、後ろ!」

爆風によって空中へ投げ出された体勢の侭、咄嗟に腰から拳銃を抜き取り、引き金を引く。

雑に撃鉄(ハンマー)を引き起こした親指には血が滲んでいた。

着地した頃には、同様に地に足をつけた銀の後ろに1人の男が倒れている。眉間には(しっか)りと穴が空いていた。

爆弾もあまり殺傷力は無かったようで、気絶している奴らが精々4・5人というところだ。

「A、銀、大丈夫か?!」
「うん、全然平気」

少し煤の付いた顔は言葉通り平気そうにケロッとしていて、立原は安心した。

「怪我は無いな。寝てる奴を叩き起こせ、帰るぞ」
「爺さん、容赦()ェな…」
「ははは…」

苦笑する立原に同意しながら、横たわる同胞をペシペシと叩き起こした。

立原曰く、「手前も容赦無ェわ」らしいが、ちょっと意味が判らなかった。



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作者名:ヤマダノオロチ | 作成日時:2018年2月5日 0時

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