【文スト】きっと純愛 (ページ15)

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きっと其の十五ページ15

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首領の執務室にて、此度の連続襲撃事件について一任してもらえないかと話す梶井。
Aはその隣でガチガチに固まっていた。

いや普通そうだろう。だって目の前に居る方は組織の頭。首領。逆らったら漏れ無く殺される人＿＿これは偏見かもしれない？＿＿とにかく、緊張するなという方が無理な話。

抑々、私はマフィアに入ってから首領へ謁見したことなど片手で足りるくらいしかない。
それなのに隣のオカッパ頭は首領に直談判すると云い、現在進行形で絶賛談判中だ。
叶うなら今すぐ此処から逃げ出したい。

「ふむ…その発想は無かったねェ……」
「是非この梶井とAちゃんに御命令を！」
「やる気があるのはとても良いのだけれど、実はこの件、既に中也君に頼んでしまったのだよ」
「何と…！」

首領の言葉に納得し、すぐ諦めがついた。
というか私は考察をしていただけで、この任務をやりたいとは端(はな)から思っていない。

「まあ、特に急ぎの仕事が無いなら中也君に頼んで同行させてもらってはどうかな？」
「……良いのですか!?」

マジかよ、と思った私の横で嬉しそうに輝く梶井さんの顔。

「山田君も一緒に行くといい」

……何故推奨形なのでしょうか。貴方にその言葉回しで云われたらイエス以外答えられないでしょう……!!! と、荒ぶる思考を抑え、「はい」と返事をした。

執務室を出て、真っ先に梶井さんの足を踏む。

「突然痛いよAちゃん?!」
「痛いようにしましたからね」
「もしかしなくても怒ってる……？」
「さあ、どうみえますか？」

首領の執務室と幹部様の執務室をハシゴなんて経験初めてだ。ハシゴなんて居酒屋とバーしかしたことない。

ただ、中原幹部と任務に当たれるかもしれないことについては少し嬉しく思う。
何故かと訊かれたら……そうだな、単純に幹部の腕を直に見れることが興味を引いているだけかもしれない。

私と梶井さんの組み合わせが珍しく見えるのか、周囲からチラホラ視線を受けながら、中原幹部の執務室へと到着した。

先程は流石にノックをした梶井だが、今回は黒蜥蜴の部屋同様にノック無しで開け放とうとするだろう。そう踏んだAが先をゆき、しっかりとノックをする。

「おう、Aか。それと梶井も揃ってどうした。2人ってのは珍しいンじゃねえか？」

まあ座れ、と促されたソファは如何にも高そうで、私は浅くしか腰掛けられなかった。

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