【文スト】きっと純愛 (ページ14)

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きっと其の十四ページ14

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「ねくろまんさー？」
「そう、死霊魔術師(ネクロマンサー)。簡単に云うと、死体(ゾンビ)を操る人のこと」
「んなの作り話(フィクション)だろ」
「此の異能所帯に居てよくそんな事云えるね、君」

近頃、マフィア管轄の子会社が連続して襲撃を受けた。いずれも皆殺しの為、大した詳細は掴めていないが、一部の噂や証言では『味方の死体が襲ってきた』らしい。

まだこの件で黒蜥蜴は首領から任務を賜ったわけではないのだが、Aは個人的な見解を立原に話しているところだった。
まあ、聞いている立原自身は半信半疑＿＿というかあまり意味が判っていない＿＿のようだが。

「つか、死体が操れるだけなら、独りの時を狙えば楽勝なんじゃねえの？」
「遺体はどこも全員分転がってたって書いてある。死体は腐敗するしね。初手で何人か殺せる腕はあるってことでしょ」
「そんな書類誰から貰ったンだよ」
「ちゃんと広津さんに拝借許可をいただいてます」

その時、不意に扉が開いた。
バンッと大きな音が立った為、Aも立原も驚きに肩を弾ませる。
元凶はその様子を愉快そうに笑い飛ばし、ズカズカと中へ入ってきた。勿論、扉は開けっ放しである。

此の男に文句を云ったところで反省された試しがないのでAはその事についてもう何も云わなかった。

「Aちゃん！最近噂の連続襲撃事件の話、どう考えてる？」
「梶井さん……丁度その話をしてたところです」
「おお！是非お聞かせ願いたいね」

Aは先程立原に話した考察を繰り返した。

梶井さんは化学の徒だし、死霊魔術(ネクロマンシー)なんて信じないだろうなと思いつつも一通り話終わると、彼は「ふむ…」と顎に手を当てて何やら考え込む様子。

すると突然立ち上がった。またもや跳ねるAと立原の肩。

「化学的に証明も理解もし難い事象…………とても興味深い！」

そして行き成りAの手を掴むと、梶井は少年のようなワクワクした顔で云う。

「Aちゃん、私と一緒にその死霊魔術師(ネクロマンサー)とやらを捕らえに行こう!! 」
「えっ？」
「そうと決まれば首領に直談判だ！」
「はあ⁉ 何云ってンですか?!! 」

訳の判らぬ侭独り取り残された立原が、寂しげに呟いた。

「…………俺、空気だった……」

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