重力、夢中力【文豪ストレイドッグス】【中原中也】

(7)指令内容が判らない ページ9

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一夜明けた朝、いつも通り出勤し廊下を歩いていると、反対側から彼奴が来た。


「よう、クソボケ」


『……嗚呼、おはよう中也』


この野郎……って…は？

此奴、普通に『おはよう中也』って云ったか？


「…何かあったのか？」

『何も無いよ』


そう云って通り過ぎようとするAの肩を掴んで無理矢理引き止めた。


『…痛い…離せ阿呆…』


「阿呆じゃねェよ。…ンだよこの隈…」


『別に。少し寝不足なだけ』



手を弾かれ、その隙にまた歩いていくA。

本当にどうしちまったってンだよ…


「おい、何処行く」

『はァ…首領の所だよ…しつこい』


露骨に嫌な顔された。アレは本気の顔だな。


「…チッ」


「まーた彼女と喧嘩したのかい？中原さん」


「…梶井か…まァ色々な」


喧嘩っていうか、今回は向こうが一方的に不機嫌だっただけな気もするが。


「お前、何か知らないか？」


「何か、って何について？」


「Aの様子だよ」


「んー…特に之と云った事ではないけれど、」








＿＿＿＿＿＿＿＿＿首領から新しく指令が出たみたいですよ？









「指令…？」


「あくまで噂だけど、その内容が彼女にとって何かよろしくないらしくて」


彼奴に指令が出たなら、相棒の俺にも出るはずだよな？


「…そうか、引き止めて悪かったな」


「お気になさらずー。また飲みに誘ってくれれば良いよ」


「おう」


くるりと方向転換し去っていく梶井の後ろ姿を見ながら考える。









Aが寝不足になるほど嫌で、あそこまで本気で不機嫌になるような指令って何だ…？

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