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(42)電話 ページ46





『_____という事で、無事に壊滅させました』



Aは何時もの様に淡々と任務の事を報告した。




「うん、お疲れ様。にしても本当に完璧にこなすね君は」


『お褒めに預かり光栄です』


「じゃあ、戻っていいよ」


『はい、失礼します』




時刻は午前1時。
Aはいつもなら自宅で就寝している時間だった。

もう今日は執務室のソファで寝ようと、執務室に向かっている途中、この前新調したスマホに1件の着信があった。




『こんな時間に電話してこないでよ莫迦』


<起きてンのかよ阿呆>



電話を掛けてきた声の主は一昨日から海外へ出ている中原中也だ。

1日会ってないだけなのに、Aにはその声が酷く懐かしく感じた。

時差の為、向こうはまだ昼間なのだろう。




<任務上がりか?>


『うん。そっちは?』


<今日1日は休みなんだ>


『へぇ〜そう』



興味無さげにそう答えると、Aはある事を思い出した。




『ねえ、私って水色似合う?』


<なっ…急に何だよ>


『別に。ただ聞いてみただけ』


<……手前みたいな女なんか何色着てても性悪だ>




カチンと頭にきたAが一言言い返してやろうと息を吸った時には既に電話は切れていた。

自分から掛けておいて何なんだと思ったが、眠さも相俟って大人しくスマホをポケットへしまう。







一方、中原はというと…





「…姐さんの奴…言いやがったな彼の事…!!」





______




「彼奴は淡い青が似合うンだよな…」


「ならばネクタイなんてどうじゃ?」


「彼奴、面倒くさがってネクタイしませんよ」


「其方の贈物(プレゼント)なら厭々でも着けるじゃろ」


「そうかァ?」



_________




数週間前のそんな会話を思い出す。

1つ貸しを作ってやろうと思ったのだが、A自身も中原に贈り物を用意していたようで、プレゼント交換みたいになってしまったのだ。


今中原が被っている帽子が正にそれである。


素直に心配で気になったと言えないのが中原中也という男なのであった。



.

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ヤマダノオロチ(プロフ) - ありがとうございます!目指せシックスパックです← 更新頑張ります! (2016年8月7日 19時) (レス) id: b2832ff97e (このIDを非表示/違反報告)
桔梗 - 『氏ね』の一言を遠回しに言ってる、その内容で爆笑して腹筋が痛いです(これで割れるかな←) 訳:面白いです。これからも頑張ってください。 (2016年8月7日 17時) (レス) id: b2f7131e28 (このIDを非表示/違反報告)
ヤマダノオロチ(プロフ) - 雪凛 さん» はじめまして!コメントありがとうございます。共感してくださって嬉しいです(笑)頑張ります! (2016年6月9日 17時) (レス) id: b2832ff97e (このIDを非表示/違反報告)
雪凛 - はじめまして!中也いいですよねぇ!かっこいいですよねぇ!もう、いろいろやばい…←とてもおもしろいです!これからも、頑張ってください! (2016年6月9日 16時) (レス) id: ca0edcb47b (このIDを非表示/違反報告)
ヤマダノオロチ(プロフ) - わたがしちゃんさん» 同士様ですか…!ありがとうございます。頑張ります! (2016年6月5日 22時) (レス) id: b2832ff97e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ヤマダノオロチ | 作成日時:2016年6月1日 0時

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