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涼介side
大好きなメンバーの声が扉越しに聞こえてくる。
__入ろう、入ろう。
そう思っても震える手では握れないドアノブ。
溢れ出す冷や汗、
瞳からこぼれ落ちそうな涙。
俺が何とか強張る身体を動かしドアノブを握った、
そんな時だった、
『おっ、涼介じゃん。何してんの。』
ふと後ろから聞こえてきたのは大切なメンバーの声。
振り返るとそこには、
涼介「薮ちゃん、伊野尾ちゃん。」
にこりと微笑む二人の姿があった。
伊野尾「...なぁに泣きそうな顔してんの(笑)」
涼介「へへへっ...何か疲れちゃって...。」
宏太「頑張ってるもんな。ほら、暑いし中入ろう。」
涼介「そうだね。」
久しぶりに会えた喜びからか、
それとも二人がいる安心感から
どこか張っていた糸が切れたのか。
ぽわっと顔が熱くなるのが分かる。
そして、
そう言って添えられた二つの大きく
温かな手に押されて楽屋の戸を開けた、
そんな時だった。
__ぐわん。
目の前の視界が突然歪み
扉に打ち付けられた俺の身体。
意識はあるのに動かない...動かせない身体。
突然の出来事に激しい恐怖を覚えた。
何で...何で動かないの...。
宏太「やまだっ...！？どうした...おい...！」
伊野尾「しっかりしろ、山田...！」
宏太「俺誰か呼んでくるわ...！山田は取り敢えず楽屋に...！」
伊野尾「了解。」
ねぇ...薮ちゃん、伊野尾ちゃん。
俺はここにいるよ...。
二人の事ちゃんと分かってるよ...。
ねぇ...気付いて...。
誰か...、
ねぇ...一人にしないでよ...。
+
伊野尾side
『“内用薬” 山田涼介様 モダフィニル』
さっき倒れた山田を抱き抱えた時
鞄から落ちてしまった一つの白い袋。
そこにはそう書かれていた。
そしてその小さな紙袋からは
大量の薬が飛び出して来ていて、
その中には、
『山田涼介様 ナルコレプシー』
と書かれた処方箋が含まれていた。
ナルコレプシー。
脳内の神経細胞が働かなくなり起こる病気。
それに...山田が。
嘘だろ。
今腕の中にいる山田がナルコレプシー...。
頭の整理が追いつかなかった。
俺は抱えていた山田の頬に手を添える。
眠っている様なのにぱっちりと開いた大きな瞳。
どこか俺に訴えかける様な瞳。
でもその瞳は、
__酷く冷たく俺を見つめている様にも見えた。
____
他のお話は一旦非公開にしています...！
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作者名：麗皐 | 作成日時：2020年5月9日 22時
