迎え ページ44
Aside
今日は私が王都に戻る日。
数日後には戻ってくるけど。
私は馬車の中で、ずっと空を見つめていた。
この空はどこまでも続いてる。
でも、私たちの世界は違う。
壁に阻まれ、巨人に阻まれ。
なぜこうも神は不公平なんだろうか。
数日後、今日はリヴァイが迎えにくるというのに、私はドアの裏に隠れていた。
なぜこうなったか、それは数分前に遡る。
私は、料理の特訓をさせられていた。
その少し前までバイオリン。
もう正直言って、うんざりだった。
私はその憎たらしい使用人がいなくなるのを見計らって、ドアの裏に隠れた。
いつかリヴァイに話したようにバイオリンとフライパンを持って。
それで今に至る。
ドアから誰かが入ってくる気配がした。
私はフライパンとバイオリンを構えて、飛びかかろうとした。
その人の頭をフライパンでぶん殴る直前に、私は踏みとどまった。
「お前、俺に何する気だったんだよ」
それは使用人ではなく、リヴァイだった。
時計を見てみると、隠れているうちに結構時間が経っていた。
「ごめんごめん。使用人かと思っちゃって。リヴァイを気絶させる所だったよ」
私が言うと、リヴァイはため息を吐いた。
人が謝ってるのに。
「気絶どころか、あの勢いじゃ、俺、死んでなかったか？フライパンはねぇだろ」
確かに。
リヴァイを殺す所だった。
「殺すつもりはなかったんだよ。ちょっと勢いがついちゃってさ。包丁を突きつける方が良かったかな？」
私はバイオリンを振り回しながら言った。
リヴァイはそれを止めた。
「やめとけ。そのうち誰か殺すぞ。いいから行くぞ。用意しろ」
私は猛スピードで準備した。
そして馬車の方に向かった。
「その靴でよく走れるな」
歩きながらリヴァイが言った。
確かにピンヒールだし、ヒールは高いけど。
「慣れだよ。慣れ。今ならこれで対人格闘だってできると思うよ？」
やらないけど。
馬車の中には、ハンジがいた。
私は二人に、この数日の間の愚痴をこぼしていた。
早く作戦の決行日が決まってくれれば、しばらくは調査兵団の方に居られるのに。
全く、ヅラヴィンは何してるんだろ。
ヅラの手入れとか？
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作者名：カシオペア | 作成日時：2017年9月16日 8時
