早く ページ38
ハンジside
私が近づくと、Aは警戒するように睨んできた。
「お前が最初の犠牲者か？」
Aはそう言って私に剣を向けた。
私はそこでストップした。
「なんでAはそこまでするの？」
私が問うと、Aは高笑いした。
その笑いは静かな部屋に響いて、狂気さを余計に強めていた。
「なぜか？そんなの簡単だろう？壁に閉じ込められたままで生きていて何が楽しい？それどころか私は、城に閉じ込められ、あれをしろ、これをしろと言われ続けた。私はその通りにした。なのになぜだ？なぜ私の要望は聞かないんだ？おかしいだろ？」
Aは一言ごとに剣を振った。
言っていることは正しいかもしれない。
でも、止めなきゃAが狂っちゃう。
「確かにそうだよ。でもそれとこれとは別だろう？」
Aは私の返答を嘲笑った。
「別だと？私は自由から遠ざかってるんだぞ？別だの何だの言ってるのはアホらしいと思うが？私の気持ちが分からないか？分からないだろうな？お前には。お前達には」
Aは皆を見渡して、薄笑いを浮かべた。
「私は自由になりたいんだ。文字通りどん底に生まれた私は、その夢を糧に生きてきたんだ。分からないだろうな？光の当たる世界で生きてきたお前らには。そんなお前らは、私の気なんて知らずに私から夢を奪うんだ。それは私を殺すことと相違ないんだ。分かるか？」
Aはさっきより激しく剣を振り始めた。
私はAの手首を押さえた。
「分かるよ。人は夢がないと生きていけないよ。でも、仲間がいなくても、生きていけないだろう？」
Aは私の手を振りほどいた。
そして剣を自身の首筋に当てた。
当たった部分の髪が切れて床に落ちた。
「仲間などいらない。そしてお前らがそれ以上邪魔をするのなら、ここで自らの命を絶つ。満足だろ？邪魔者がいなくなって。満足だろ？面倒な奴が居なくなって」
私が口を出そうとすると、誰かが私の横を通った。
それはリヴァイだった。
リヴァイはAの手から剣をもぎ取った。
「目を覚ませ。冷静になれ。考えてみろ。お前はどうやってここまで来た？」
Aは聞く耳を持っていない。
もう一方の剣を抜いた。
「考えたくもない。私は自由が欲しい。それだけだ」
ダメだ。
早くしないと、Aが狂っちゃう。
ストレスがかかりすぎたんだ。
その時、リヴァイはAの手首を強引に押さえた。
そして…
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作者名：カシオペア | 作成日時：2017年9月16日 8時
