月 ページ16
「ふぅ…」
マステラはベッドで一息ついた。ワルキューレは裸喰娘々にある寮に一緒に住んでおり、お風呂も一緒だった。
「……マキナさんとレイナさんのくすぐり大変だったな…」
パーティーの片付けも終わり、新人2人の歓迎も兼ねて露天風呂に皆で入ることになったのだが、その新人がマキナとレイナの洗礼を受けたらしい。カナメはお酒も入っていたため、ふふふ、と眺めているだけだった。
「思ったより際どいとこ触ってくるから…もう…」
お風呂やら何やらで火照った体を涼める為に、少し外に出る事にした。先に休みます、と他のメンバーに伝えてベッドへ行った為、廊下に出ると楽しそうな笑い声がどこからか聞こえてくる。
「……」
マステラはバルコニーに出て夜風に当たる事にした。
バルコニーから見える月はとても綺麗だった。
すると、
ミィ!
「……え!クルル!?」
手すりにいつの間にかクルルが掴まっていた。そういえばどこに行っていたのだろう。
「クルル、あなた一体どこに…!」
ミ?
「……自由だね……あんまり心配させないでね?」
マステラはクルルをきゅ、と抱きしめた。
「みてクルル、月が綺麗…こんな綺麗な月見た事ある?」
「満月かな…大きいね、クルル」
マステラがクルルを見ると、スウスウと寝息を立てていた。
「…………っふ、あはは……」
呆気に取られていたが、たちまち笑ってしまった。
「疲れてたの?何してたのか分からないけど、いっぱい動いてたのかな…」
マステラはクルルを撫でながら話しかけた。クルルの体は規則的に上下に揺れている。
「…………月……」
月。マステラは月を見ると沢山のことを思い出す。
雪、夜、血、炎、ナイフ、
手のひら。
「……………………………………」
「………………………どこにいるの…」
クルルの体に、涙が一滴こぼれ落ちた。その拍子に、クルルが目を覚ます。
…ミ?
「あ、ごめんね…起こしちゃった?」
ミュ
クルルはぐ、と体を上げ、マステラの顔を舐めた。
「…ありがとう、クルル」
また、きゅっと抱きしめた。
「泣いてる暇があるなら、歌!歌わないとね」
マステラは目を拭い、月を見上げた。
「……教えてくれた歌、私はずっと覚えてるから」
夜風をすう、と吸い込み、マステラは歌を届ける。
ラッキーアイテム
革ベルト
57人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ちゃまろ。 | 作成日時:2020年3月11日 0時