この声に想いを込めて~2nd season~ (ページ11)

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パタパタと駆けて行ってしまった櫻井くん。

なんだか、ちょっと申し訳ない……

具合悪いわけじゃないし、一緒に行けばよかった。

櫻井くんが去っていった方を、ただ見つめていると。

「あれ、櫻井こっち来なかった？」

今度は倉岡くんがやって来た。

「あ……飲み物買って来てくれるって」

倉岡「あー俺も頼みたかった！あいつ、スマホ持ってってた？」

「、確か持ってたよ」

倉岡「ラインしてみよ。……俺と茉奈の分もよろしく、っと」

茉奈……立木さんの下の名前か。

いいなぁ。

私は櫻井くんから、まだ名字でしか呼ばれたことないもんなぁ。

なんて、ちょっと羨ましくなっていると、バスタオルを羽織った倉岡くんがよいしょ、と隣に腰かけた。

え……倉岡くん、まだここにいるの。

立木さんは？

まだ海の方にいるんじゃ……

そこまで慣れてない倉岡くんと急に二人になって、不安になる。

倉岡「ねぇ中原。櫻井ってさ、二人でいる時どんな感じなの？」

そんな私をよそに、唐突な質問。

「、え……どんな、って」

倉岡「さっきの電車の時みたいに、結構デレデレしてんの？」

「えっ、」

倉岡「あいつのあんなとこ見んの、こっちが恥ずかしくなるんだけどさ」

「…………デレデレ、は分からないけど、ドキッとしたりキュンってなったりはする、かな」

返答に困りながらもなんとかそう答えると、倉岡くんは一瞬の間の後、はははっと笑った。