戻ったって変わらないのに (ページ28)

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ミスミソウページ28

最近の藤ヶ谷は自信に満ちていた。ずっと北山に想いを告げるのが怖かった。けれど昨日の北山の反応とあの顔は、少なからず藤ヶ谷に可能性があるのではないかと思わせていた。

あれからよく重なるようになった視線と、じれったくて何かを求めている目、二人っきりになると少し俯き染める頬は藤ヶ谷に自信を与えていった。

もしかしたら、もう想いを告げてもいいのかも。

藤ヶ谷の考えはそのように変化していた。前までは自分には魅力が無く、そのまま振られて終わりだっと思っていた藤ヶ谷はもうそこにはいなかった。それならば、今日中にも北山にこの溢れ出しそうな想いを早く伝えたかった。

そのためには北山を何かに誘わないとならない。

けれど、告白なんて何処ですればいいのかも何て告げればいいのかも、恋愛経験に乏しい藤ヶ谷にはちっともわからなかった。

何となくスマホを手に取ってGoogleを開いてみる。【告白人気な場所】とメンバーがいる部屋で調べるのは気に障る。

けれど北山に想いを告げるためなのだからと藤ヶ谷は自分に言い聞かせて照れくさそうにしながらも一番上のサイトを開く。

そこにはこう書かれていた。【告白されたい場所ランキング！一位は“思い出の場所”】と記されていた。それを見て藤ヶ谷の眉が下がる。

【女性が告白されたい場所ランキング一位は、何と言っても二人だけの思い出の場所です。

女性は初めて会った場所や初めてデートした場所を大切にしている事が多いです。

男性に思い出の場所で、告白されたら、覚えてくれていた事に感動すること間違いないです。】

その記事をサラッと読んだ藤ヶ谷の眉はますます下がっていった。「北山との思い出の場所ってなんだ？」そのことで藤ヶ谷の頭がいっぱいになった。

しばらくして撮影のため呼ばれたが、藤ヶ谷は未だにあの話題で頭を悩まされていた。けれど無くて悩んでるのではなく、ありすぎて悩んでいたのだ。

ライブをした場所が良いだろうか。それとも本音で語り合ったキスマツ荘の海はどうだろうか。

いい場所を思い付いたと思ったが、藤ヶ谷は独りでに首を横に振った。初めて本気で好きになった相手なのだから、ありきたりな所は嫌だと思ったからだった。

それに北山にとっても人生で一番最高の告白だと、思い出に刻んでほしいという気持を秘めているからだ。

収録中も撮影の時も頭を抱えていた藤ヶ谷にメンバーは不安な目を募らせていた。