恋愛には、不真面目であれ。５ ページ6
ｰ 北信介 ｰ
初めて彼女を見たのは、1年の時。
俺と同じ1年の、マネージャーとして入部してきた子。そん時はただ、可愛ええ子やなぁと思っただけやった。
でも、一緒に部活で過ごすうちに。
段々と仲良くなっていって。
�猴�達�瓩噺討戮覺愀犬�らいには、なっとった。
『北は、毎日居残りして偉いなぁ』
別に、褒められたくて残っとるわけやない。ただ、気持ちがええからしとるだけやねん。
でも、彼女のその言葉を聞いた時は、何でか死ぬ程嬉しくて。
まだまだ部活に入りたての。多分5月頃やったやろうか。
その日から、一緒に彼女も居残りしてくれるようになった。
俺がボール磨きをしとる間は、部室の掃除をして。
トイレ掃除をしとる間は、体育館のモップがけをして。
自主練しとる時は、必死にマネのノートを書きよった。
そんな、一生懸命で真面目なAに惹かれるのなんて必然でしか無くて。
好きになるのも、時間の問題やった。
この気持ちを自覚したのは、2年に成り立ての頃。
でも、スグに気持ちを伝える気にはなれんかった。
俺らは、所謂男バレの強豪校。
その為には、恋愛にうつつを抜かしとる場合やなかった。
やから、最後の大会が終わってから。
この気持ちを伝えようって、決めとったねん。
ずっと、ずっと、この溢れんばかりのこの想いを。
誰にも言わずに、胸の奥底にしまい続けて。気付けば、3年の夏の少し手前。
ある日、彼女に告げられた。
『私な、梟谷のセッターに告られてん』
ガラガラガラと、全てが崩れ落ちたような気がして。
それが、自分の感情やと気付くのに、そう時間は掛からんかった。
『赤葦ってな、北に凄い似とるんよ。
やから、なんか安心してもうて』
…せやったら、俺と付き合えばええやん。
そんな言葉を彼女に伝えるのには、もう遅過ぎて。
何もかもが、どうでもよくなった。
その日から数日、落ち込んだ後。
俺は、心に決めたんや。
どんな手を使ってでも、Aを奪い取ってやる、と。
やって、そうやろ？
真面目に、卒部するまで、なんて考えとったから人に取られんねん。
せやったら、不真面目になるしかないやろ。
▪
___Aが、俺の言う事を信じんわけが無い。
あとは、物証が欲しかった。
『なんや、オモロい写真やなぁ』
『あぁコレ？
文化祭の出し物の写真だよ。
赤葦のクラスは、レンタル彼氏だったんだと』
せやから、木葉君には感謝しとるよ。
明日お礼言わなな。
［終］.
そんな酷な事は、言わないからさ。１［及川,岩泉］→←お前の彼氏、浮気しとったで。４
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作者名：ヒマリ | 作成日時：2020年5月10日 23時
