君の好きな色にはなれない。４ ページ14
ｰ 及川徹 ｰ
まっつんとAちゃんを見送って、ハァとひとつため息をついた。
俺も、昼飯食わなきゃな。
と、1人弁当箱を開く。
新しい彼女には、『お昼、一緒に食べよう』と誘われていたが、断った。
そんな事より、Aちゃんと、少しでも長く話していたかったから。
__ 俺は、同じクラスのAちゃんの事が、好きである。
でも、彼女に想いは伝えていない。
…いや、伝えようとしたら悉く話をはぐらかされた。
最初は、いつだっただろうか。と、思い返しながら、箸で米を掬う。
去年の、ちょうど今くらいの時期だったかな。
『放課後、ちょっと話せない？』
と、言ったら直ぐに『用事がある』と断られた。
それからも、数回諦めずに聞いてみたけど、全敗。
いや、そもそも勝負すらさせて貰えなかった。
…流石に、何回目かで俺も察した。
拒絶されている事に。
彼女が、�爐燭世陵�達�瓩箸いΥ愀犬鯔召鵑任い觧�に。
ぱくりと口の中に入れた卵焼きは、少し焦げていて。
苦い味が口に広がった。
…失敗したな。
なんて1人で微笑しながら、すぐ横にある窓に目を向けた。
たまたま、いや。
いつもの様に、窓の外の中庭ではまっつんとAちゃんの姿があって。
2人で仲良さげに、購買で買ったパンをベンチに座って食べている。
｢…痛いなぁ｣
そう呟いても、勿論、この言葉は彼女には届かない。
__ Aちゃんの、笑顔が好きだ。
割とツボが浅くて、簡単に笑う。
__ Aちゃんの、瞳が好きだ。
真っ直ぐ、俺の事を見つめてくれる目。
でも偶に、俺よりもっと奥を覗いてるんじゃないのかなって、少し不思議になるくらい。じっと、見られることがあって。
未だに、それの意味はよく分かっていない。
…でも、1つ言えるのは。
彼女のその目は、まっつんがAちゃんを見ている時の目に、よく似ている。
多分、Aちゃんとまっつんは何かしらの波長が合ったんだと思う。
俺が、絶対理解出来ないような。
そんな、何か。
__ 拒絶されてから、俺は積極的に彼女を作るようにした。
勿論、Aちゃんに見せつける。
それだけの為に。
でも、全然彼女はそんな俺の行動に靡いてはくれなくて。
挙句の果てに、まっつんと付き合ってしまった。
俺はそもそも、彼女の好みの男では無かったんだろう。
でも未だに、俺はこんな想いをズルズルと引き摺っていて。
…馬鹿だなぁ、と、今日も。
自分で自分に、何度も呆れている。
［終］.
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作者名：ヒマリ | 作成日時：2020年5月10日 23時
