［96］__ 山口side ページ4
.
▽ 山口side ▽
扉の先にいたのはA、だったのだけれど。
俺の目に映った彼の姿は、女の子、だった。
｢ごっ、ごめん！！｣
と言って、取り敢えず思い切り扉を締める。
｢ごめん忠！きっ、着替え終わったら、言うから！！｣
部室の中からはそんなAの慌てた声が聞こえてきて、それに俺も｢うん！｣と返す。
ど、どうしよう…。
俺は扉に背を預けて、その場にズルズルとしゃがみ込んだ。
一旦、整理すると。
俺は、水宮 Aという男の子の着替えている場面を見てしまった。でもワイシャツから覗いて見えた彼の身体には、女の子にある筈の2つの膨らみがあって。
もっ、勿論！下着は着けてたけど！
って、誰に言い訳してんだ俺は！
と頭の中でそこまで考えて、うわぁぁっと頭を掻き毟る。
でっ、でも俺は、Aの下着を見てしまったのは事実か…。顔が熱くなるのを感じて、心臓もバクバクなる。
ちょっ、だめだめだめ！鮮明に思い出したりとかしちゃダメだから！
頭をぶんぶんと横に振って、何とか邪心を払っていれば、ガチャりと扉が少し開くのを背に感じた。
上を見れば、いつもの様に学ランを着たAがそこにはいて。
｢えと、待たせてごめんね。…忘れ物、だっけ？｣
｢うっ、うん！｣
俺は彼の言葉にそう頷いて、部室の中へと入った。
忘れていた冊子は、自分のロッカーの中に入っていた。一応名前を確認したらきちんと�犹蓋��瓩筏�されていて、ホッと安堵の息を漏らす。
ほんと、普通に忘れてたんだな…。
｢あのさ、忠｣
少し上擦った声に振り向けば、Aは不安そうな顔で立ち尽くしていた。
あっ、そっか。やっぱりさっきの事、気にしてるよね。
｢見た、よね？｣
彼の悲しそうに聞かれたその言葉に、コクリと頷く。
でも、待って欲しい。
俺は全然、Aが心配してあるであろう事はひとつも思っていない。
｢あの、｣
｢ちょっと待って。
見たけど俺、別に何とも思ってないから｣
彼の言葉を遮って、俺は真っ直ぐAの目を見る。
キョトンっと、した彼に可愛いな、と場違いな事を考えていた。
｢俺、Aが心配してるような事、何一つ思ってない。
誰かに言いふらしたりもしないし、これからも変わらず接する。理由も無理には聞かないし…、Aが話してくれるって言うなら勿論聞きたいけど｣
そう続けている間、彼はただただポカンと口を空けていた。
｢だから、心配しないで？｣
そう言って、ニコリと微笑んだ。
.
［97］__ 山口side→←［95］プラトニックラブ __ 山口side
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 867人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆん(プロフ) - おもしろくてすぐに読み終わりました(о´∀`о)続きが気になります😃更新頑張って下さい(*´∇｀*) (2022年7月6日 12時) (
レス) id: d0dd043faf (このIDを非表示/違反報告)
naonao(プロフ) - 更新待ってます！！！ (2021年10月29日 14時) (レス) @page37 id: d20e044f3d (このIDを非表示/違反報告)
MiSo(プロフ) - 続き楽しみにしています！！更新停止中ですが、再開したら無理せずに頑張ってください！応援しています！ (2020年7月12日 0時) (レス) id: 78c105b37d (このIDを非表示/違反報告)
ミューナ(プロフ) - お気に入り登録が819になってる…！ (2020年5月4日 8時) (レス) id: d5974347c1 (このIDを非表示/違反報告)
咲夜 - 面白いです(*^^*)合宿の話とかすっごい気になります！更新頑張ってください、("⌒∇⌒") (2020年4月28日 15時) (レス) id: d570b5d827 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ヒマリ | 作成日時：2020年4月27日 23時
