ねーちゃんが三十人 ページ34
＿「えっ、と……」
「ねえさん！ こちらです！」
駅構内にて。
三郎がいち早くねーちゃんを見つけ、声をかける。
その声に反応するように、ねーちゃんはへにゃっと力が抜けたように笑った。
そのまま駆け寄り、三郎の細い腰周りに腕を回す。
「っわ！ ねえさ……っ！」
「数日ぶりなのに……、なんだかすっごい久々な気がする！」
三郎は顔を赤くし、慌てふためいているが、決してねーちゃんを離そうとはしない。
満足したねーちゃんはそのまま三郎からするりと離れ、今度は俺をぎゅっと抱き締めた。
「一郎」
「ねーちゃんっ」
俺も頭を抱えかえすと、ねーちゃんは「くるしい」と幸せそうに笑った。
まるでお菓子のような香りが鼻腔をくすぐり、全身に甘ったるい痺れを宿して消えていく。
それは刹那的で、なんとなくもったいない。
「はい、二郎も！」
「お、おう……」
ねーちゃんとは対照的な控えめなハグ。
二郎は面白いほど顔を真っ赤にし、顔をねーちゃんから逸らしている。
それでも視線は、ねーちゃんから離さない。
横目に見つめる姿は、まるでと例えようのないほど、恋に落ちている。
兄弟同じ気持ちなのがものすごく残酷に感じ、胸の奥がズキリと痛んだ。
そしてねーちゃんにも、俺達三人の中から誰かを選ぼうという意思がないことがひしひしと伝わり、喉の奥が水分を失っていく。
「一郎？ そろそろ行こっか」
俺の顔を覗き込むその目には、俺の顔以外映っていない。
体調悪いの？ と心配に目元を歪めるねーちゃんに、胸の痛みをさっき以上に明確に感じた。
喉の潤いを求めるように口内の唾液を、こくりと飲み下す。
心配をかけまいと笑みを浮かべ「なんでもねぇよ」とねーちゃんに言った。
ねーちゃんは「そう？ 無理に我慢しなくていいからね」と俺の頭をひと撫でし、満足気に笑う。
「おう、行こーぜ」
ねーちゃん曰く、ヨコハマの警察、入間銃兎と、元海軍の毒島メイソン理鶯が車を出しているらしい。
狭い車内に同乗するのは気が引けるが、ここは一時休戦だ。
ねーちゃんもヨコハマとイケブクロの関係性は知ってるようで、申し訳なさそうだったが、ここはバトルすべきではないと割り切る。
「よろしくお願いします」と一礼すると、「ええ」と人好きする笑顔を入間は浮かべる。
車は思っていたより大きく、六人乗ってもまだまだ余裕があるように見えた。
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おりはるこん（改名）(プロフ) - ミーさん» コメ返し遅れて申し訳ないです！最近やることが多いので更新事態の優先順位が低くなってるのがすごく悔しくて…。終わりは決まってるので着いてきていただけると嬉しいです！ (2018年11月29日 20時) (
レス) id: ea4c86eaca (このIDを非表示/違反報告)
ミー(プロフ) - 最近読み始めたので、更新とても嬉しいです…!これからも頑張ってください！ (2018年11月9日 20時) (携帯から) (レス) id: 750b1e0df3 (このIDを非表示/違反報告)
おりはるこん（改名）(プロフ) - ぬぬぬさん» ここだと文字数が足りないのでボードかメッセージに移行してもよろしいでしょうか？私の考察は250文字以上になってしまいそうなので…(汗) (2018年9月15日 18時) (レス) id: ea4c86eaca (このIDを非表示/違反報告)
ぬぬぬ(プロフ) - ペンは剣よりヒプノシスマイクってどういう意味だと思いますか？？？調べても全然分からなくて… (2018年9月15日 17時) (レス) id: 62aeac2e51 (このIDを非表示/違反報告)
おりはるこん（改名）(プロフ) - ぬぬぬさん» わかりみが深い…！久々にヒプマイを誰かと語れてスッキリしました！ぽっせもわかります！ヒプマイ沼は深いですね…！ (2018年9月15日 17時) (レス) id: ea4c86eaca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おりはるこん(元鈴音)
| 作者ホームページ：なし
作成日時：2018年8月26日 8時
