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春風に乗って香ってくる匂いは
時々、急に甘く感じるのは
何のせいなのか、
私は気付こうとしていなかった。
摘んだ花がらは
捨てずに分類して
籠にいれるように言われていたので
その通り
最後の花がらを
丁寧にいれた。
「できました！」
紫「え！本当に？
はやいな〜」
「確認してくれますか？」
紫「いまいくね」
透き通るような瞳で
私が辿ってきた花を
じっくり見つめる。
上手にできたかの不安と、
だんだん縮まる距離に
いちいち募っていく緊張感が
さらに私の心を掻き乱してくる。
一通り見終わった紫耀さんは、
紫「よくできました！
ありがとう！」
と言って、
私の頭をぽんと、撫でてくれる。
「良かったです、！」
紫「よし、じゃあちょっとまってて？」
「どこに行くんですか？」
紫「ん？そこの自販いくだけだよ」
「あ、そうなんですね」
紫「そんな寂しそうな顔しないでよ〜笑
そこ座って待ってて！」
「べ、別にそんなじゃありませんから！」
紫「はいはい笑」
私に背中を向けたまま、
ほんの少し手を振ってくれたかと思えば、
すぐに外にかけていった。
お花屋さんに残された私は、
やっぱり落ち着かなくて、
キョロキョロしてしまっていた。
その時、
レジ横の壁にある
上品に飾られた写真が目に入った。
私はそっと立ち上がって
その壁を見る。
そこには、
おそらく幼い頃の紫耀さん、
あと弟くんらしい男の子の
様々な場面の写真が
きれいに飾られていた。
ソフトクリームを二人で食べようとする写真、
一緒にジョウロをもって水やりをする写真、
賞状を持っている紫耀さん、
まだ赤ちゃんの紫耀さん、
そして、
その写真と一緒に飾られているのは
ドライフラワーとその花言葉。
このお花屋さんは、
きっと紫耀さんのお家で営んでいるのかな。
その一角から見える柔らかさを
色で例えるならば、乙女色。
黄色を含んだ、淡い赤色だ。
まさに早春に花をつける乙女椿のような
控えめで優しい印象をうける。
その雰囲気で
ふわふわした気持ちになっていたとき、
突然、頬に冷たいものが当たる。
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椿茜(プロフ) - 名前変換が出来ていないので、確認と訂正の方よろしくお願い致します。 (2021年3月3日 8時) (
レス) id: ffddcc42e3 (このIDを非表示/違反報告)
椿茜(プロフ) - 初めまして。楽しく読ませていただいていたのですが、5月のページのところに出てくる奈々葉でしたっけ？誰ですか？ってなってしまいました。 (2021年3月3日 8時) (レス) id: ffddcc42e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：嶺花 | 作成日時：2021年1月15日 20時
