7 ページ45
その瞬間もう泣くのを我慢するなんてできなくなって藤川の肩に顔を埋めた。
泣いても泣いても止まる気配のない涙。
こんなに泣いたことは記憶にない。
泣いてばっかりの俺に藤川は「大丈夫、大丈夫」「よく頑張ったよ」と背中を擦りながらさらに抱きしめている力を強めてずっと声を掛けてくれていて、いつもは甘えるなんて絶対にしないけど今日だけ少し藤川にわがまま言ってもいいかな……そう思った。
________
藤川side
俺が少し強くギュッとしたらそれを返すように藍沢も少し強い力でギュッってくっついてきて少しびっくりした。
俺が一方的に抱きついただけだったけど藍沢は今俺の肩に顔を埋めてずっと泣いている。
「怖かった……」嗚咽に交じって時々そういう藍沢。
自分が他人の人生を狂わせてしまったかもしれない……
そう思って怖くないやつなんかいる訳ない。
そんな重圧の中耐え抜いた藍沢は本当に偉いと思う。
あの高熱で力なんか残ってるはずなのに弱々しく少し申し訳なさそうに藍沢は俺の服を掴んでひたすら泣いている。
藍沢が顔を埋めている右肩のスクラブは涙で濡れている。
はるかに言って選択してもらわないと皺になるな……
なんて考えながらも藍沢が俺の前でこんなに素直に「怖かった」って言ったり素直に泣いてくれたのは本当にうれしかった。
しばらくのあいだずっと俺の肩に顔を埋めて泣いていた藍沢だけどやはり熱があるからか終始怠そうで今にも寝そうな状態になっている。
この体勢では体が痛いだろうしゆっくり休めないだろうと思い藍沢をベッドに横にさせようとすると藍沢はそれを拒むかのように俺の服をギュッと握って本当に小さな声で「嫌…」と呟いた。
__________
藍沢side
柄にもなく藤川の肩に顔を埋めてずっと泣いていたが熱のせいか頭がボーッとしてきた。
そんな時藤川が俺をベッドに移そうとしたみたいだが俺は反射的に藤川の服をギュッと握った。
迷惑かもしれないということはわかっているけどそれでも今は側にいてほしい……
一人が嫌だ……
今握っている藤川の服を離してしまえば１人になる気がして怖かった。
何を言われてもいいから側にいてほしい……
ただそれだけ思っていると藤川は俺に「どうした？」そう優しく声を掛けてくれた。
せっかく藤川が声を掛けてくれたもののいざ伝えるとなると「寂しい…」「一人が嫌だ…」とは中々口に出せず思わず目線を逸らすと何かを悟ったように藤川は浮かせかけた腰をもとに戻した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 273人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
明日香 - RULIさん» わかりました。コメントありがとうございます。なるべく希望に沿えるよう頑張って書かせていただきます。これからもよろしくお願いします！ (2019年5月28日 21時) (
レス) id: 9194933e72 (このIDを非表示/違反報告)
RULI - 遅くなってすみません。雪村先生がいいです！ (2019年5月25日 9時) (レス) id: 8fa7ebfbfe (このIDを非表示/違反報告)
明日香 - 愛美さん» 感想ありがとうございます！楽しんでいただけたなら嬉しいです。これからも更新頑張っていきますのでよろしくお願いします！ (2019年5月19日 18時) (レス) id: 9194933e72 (このIDを非表示/違反報告)
愛美 - リクエストした藍沢先生が甘えるお話を書いてくださりありがとうございます！！読みながら想像して悶えてました笑 これからも楽しみにしてます！！ (2019年5月19日 16時) (レス) id: 9661795347 (このIDを非表示/違反報告)
明日香 - RULIさん» お返事ありがとうございます！黒田先生か白石先生ですね！頑張って書かせていただきます。誰かを庇うとのことでリクエストをいただいていたのですが、誰を庇うとか指定はありますか？ (2019年5月18日 21時) (レス) id: 9194933e72 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
