藍沢先生が体調不良6(リクエストOK)

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『大動脈破裂』

起これば可能性はほぼ０。

わかっていた、けど医者は負けず嫌いだ。

俺自身もそのうちの一人。


あらゆる事態に備えて準備していたとしても現実は予測を上回る。

そして予測を上回る現実にさえ勝ちたいと思う。


だが結果は負け。

手術に入っていた横峯とそのほかのナースたちにも重たい空気が漂っている。



誰も一言も発さないまま医局に戻り俺も脳外の医局へ戻った。


新海「藍沢、この書類は書き終えたから」


藍沢「すまない。助かる」


新海「どうした？」


藍沢「なにがだ？」


新海「いや…顔色悪いな…と思って……」


藍沢「別に何もない……」


新海「なにかあったら言えよ」




それっきり俺と新海の間には会話ががなかった。


新海には「別に何もない……」と言ったが朝からの頭痛の痛みが増してかなり体調が良くない。

オペが終わった後くらいから吐き気も加わり実をいえば仕事どころではない。

さらに上腹部の痛みと倦怠感に変にこっている肩。


なんとなく察しはついているが今の救命と脳外の状況で俺が休むなんて迷惑がかかるだけ。


無意識に上腹部にもっていきそうになる手に注意を払って脳外で仕事を続けた。





日勤の時間が終了して当直に。

今日は救命での当直のため救命の医局に向かい自分のデスクで今日亡くなった患者の死亡診断書を書いた。


明日のオペにたまっている書類整理。

やってもやってもきりのない仕事に止むことのない強い頭痛。


思わずこめかみに手を当てていると白石に声を掛けられた。


白石「藍沢先生？」


藍沢「なんだ？」


白石「頭痛い？少し休んで来たら？」


藍沢「！……いや…少し考え事をしていただけだ」

白石にばれるといけないため適当な言い訳をしてさりげなくこめかみから手を離した。



白石「…そう……でも藍沢先生連勤してるし休めてないでしょ？少し仮眠とってきたら？」


藍沢「大丈夫だ。この書類を今日中に書き上げないといけない。お前こそ仮眠とらないのか？」


白石「私は大丈夫よ。さっき出勤してきて２時間仮眠とったし昨日は非番だったから。明日はこのまま日勤だけど当直じゃないかし…」


藍沢「そうか」


白石「藍沢先生、無理しないでよ」


藍沢「わかってる」


そう言って会話が終わりパソコンに目を向けた白石をみてほっと安堵の息を吐いた。

相手が鈍感の白石だからよかったがこれが緋山や冴島だったら不調がばれていたに違いない。


明日も日勤が救命、当直が脳外でシフトが入っている。


倒れないようにしないとな……

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