遅咲きの恋 (ページ10)

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その日は、真っ直ぐ家に帰ることにした。

辺りが暗くなる感覚と
ひとりだという孤独感が身にしみて

目頭が熱くなるのは、恋煩いのせいか。

「はぁ、なんだかな。」

ため息を言葉にしたところで得るものはない。

今頃、翔くんはニノと
楽しく飲んでるんだろうな。

いいな、俺だって行きてぇし。

翔くん酔っ払うと
いつもより大胆になるから心配だ。

そのくせ、お酒には強いからなぁ。

「はぁー、」

仲良く呑む2人を想像しては、もやもやして
昼間の彼を思い出しては、無意識に口元が緩む。

不安定すぎる、自身の心情に戸惑うのは
今に始まったことではないが

胸の奥の突っかかりが嫌に、主張する。

わかってんだよ、
動かなきゃなんも始まらないことくらい。

でもさ、翔くんを前にすると
こうも臆病になるかってくらい行動できない。

どうすりゃいいんだか。

頭をぐるぐる回転させながら

家近くのコンビニに寄ると
一冊の雑誌に目が止まった。

『片思いの方、必見！
好きな人にアピールする方法、15選！』

見た瞬間、ピンと来た。

これを読めば
うまくアピールできるんじゃないかと思った。

ぱらっと雑誌をめくると
目に入ってくる膨大な情報量。

話すときはしっかり好きな人の目を見る。
共通の趣味を持つ。
好きな人に電話する機会を増やす。
会う回数を増やす。
好きな人を褒める。

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ずらーっと並ぶアピール法に
だんだんと、高揚感に包まれていく。

＿＿これならいけるかもしれない。

そう思った俺は
一冊を手に、レジへ向かった。

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