遅咲きの恋 (ページ6)

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あれから、ニノが来ると

「あれー、ふたりでなにしてたの？」

なんて、からかうように言われて

「お話ししてただけだよ、ね？」

「うん、なんもねぇよ。」

本当に何もない。

話していただけだし、触ってもないし
もっと言えば、椅子１つ分は空いていたんだ。

ただ、目が合って頬染めて
話してただけ。

うん、俺はまだ何もしていない。

「ふーん。」

納得がいかないのか、じとーっと見つめてきて

「何もないなら、いいですけど。」

そう言って、ふたりの間の席に座った。

ニノのゲームの音。
翔くんの新聞をめくる音。
俺のスマホを触る音。

それだけが聞こえる楽屋で
ついつい意識して見てしまうのは翔くんで。

新聞を読む、真剣な目。
時々、無意識に触る唇。
目が疲れたのか、パチパチする仕草。

難しそうな顔も
穏やかな顔も

どれをとっても、俺にはツボで
見てるだけで口元が緩むのは無理もない。

もし俺が好きだって伝えたら
どんな顔すんだろう、とか考える。

きっと、翔くんは優しいから
困った顔して笑うんだろな。

今はただ、翔くんの隣で近くにいれたらいい。
翔くんの心の中に少しでも居れれば、いいんだ。

あまりに望みすぎると
手に入る幸せまで、溢(こぼ)れていってしまうから

今は隣にいれたら、充分。

だって、焦りは禁物って言うだろ？

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