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s side
__俺は、翔くんにあげたかったの。
大野さんのその言葉が耳から離れなくて
赤くなった頬を隠すように丸まった。
なに、俺にあげたかったって。
大好きなカフェラテを貰って
その上、甘やかしてくれて。
あんな優しい顔向けられたら
誰だって、勘違いしてしまうでしょ。
そんな彼に心配をさせてしまうなんて。
ああもう、俺のバカ。
素直に嬉しくて
恥ずかしかったからだと言えたらいいのに。
スタッフさんに呼ばれて帰ってきた大野さんは
一度俺のところに寄って
「翔くん、もう大丈夫なの?」
なんて、優しくて。
胸がどぎまぎと落ち着かない。
「うん、ごめん。」
素っ気ない返事しかできない俺は
大野さんの目にはどう映っているのか。
考えるだけで怖かった。
それから大野さんはソファに座ると
小さく溜息をついた。
__なんだか、元気がない?
気になって、下を向いている彼をいいことに
盗み見ていると
ばちっ。
しっかりと、目があった。
構えが何もなかった俺は、驚いて
つい逸らしてしまった。
感じ悪かったかな。
一瞬合った、大野さんの綺麗な目が残像として
俺を見透かすように頭に残った。
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作者名:もふ | 作成日時:2019年4月28日 18時