トロイメライ

8.コワガリ ページ8

dt.






阿部がトイレに行ってから10分程。
楽屋での待機中、マネージャーが慌てたように
楽屋に入ってきた。



「っ、阿部ちゃんいる！？」




息を切らして楽屋内を見渡す。




dt「トイレ行くっつって出てったよ」

「まじか、…分かったありがとう」

dt「なに、何かあったの」

「仕事の話。割と緊急だから
後であべちゃんに俺んとこ来いって言っといて」




あ、うんって半ば呆然としながら返事をした。
そしたらまたダッシュで楽屋を後にするマネージャー。




阿部は外仕事で個人で出ることが多いから、
やっぱり大変だなあと思う。

昨日も終わるの遅かったって阿部言ってたし。

俺らが知らないだけでたくさんトラブルあったんだろうなあって。


せめて今日くらいは、もう日は沈んだけど
それでも早めに解散できるといいな。





「ただいまぁ〜」





スッキリしたのか、そんな表情の阿部が
楽屋に戻ってくる。

なんか口角上がってるし、
トイレ行く前の阿部よりは表情が幾分か明るく感じる。




nb「あ、そうだ。
さっきマネージャーが阿部ちゃんのこと探してたよ。
仕事のことで緊急だからって言ってた」

ab「あ、マジで？ありがとう翔太。
行ってくる」





カバンの中からガサゴソと
ペンとメモ帳を取り出し、それをぶちまけないかヒヤヒヤしながら見守る俺と翔太。


無事に2つとも取り出し、満足気に
早足で楽屋を出ていった。

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