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躊躇いがない 沖田side ページ47

誰かと話しているらしい、というか、聞き覚えのある名前が聞こえてきて、気になった俺は歩くスピードを早めてそこの角を曲がる。食堂へと繋がる通路の途中にはその声の主であるAが壁に背中を寄り掛からせて立っていて、右手には携帯電話を握っていて、それ耳に当てていた。どうやら電話をしているらしく、『陽太』の名前が出てきた当たり、実家からの電話なのだろう。Aも夕飯を済ませようと歩いていたところ途中で電話が掛かってきて、そこで立ち止まって会話をしている。そんな推理を俺は脳裏に並べた。恐らくは間違っていないだろう。

俺が歩を進めていくとAがこちらに気付きペコリと会釈のようなものをした。俺が「家からかィ」となんとなく問い掛けるとAは「はい」と頷いた。弟と会話をしているAの表情はなんだか明るく楽しげで、流石はブラコンだなと内心で思った。口に出すと怒られるので黙っておくことにする。

それと同時に、たとえそれが姉弟だからであっても、Aが陽太にデレデレなのを見ていると少しムッとしてしまう自分が居る。後でソイツが困ってしまうくらいに構い倒してやろう、そう心に決めた。

すると、何やら子供らしい甲高い声が微かに電話から聞こえてくる。『お姉ちゃん、誰か居るの?』と陽太の声。


「うん、まお……沖田隊長が居るよ」

「今魔王って言おうとしただろお前」


久々にその呼び名で呼ばれかけた。Aを意図的に作り出した湿っぽい目で見据えていれば、見えないですよ〜というようにAがそろーりと目を逸らす。俺は更に決める。後で30分間ちゅーの刑に処す。


「…え、うん、分かったちょっと待ってね」


と、Aはそう言って一旦電話を耳から離し、俺を見た。内容は今度は食堂から響く笑い声のせいで聞き取れなくて、俺は「どうした」と首をかしげる。


「陽太が沖田隊長に変わってくれって。ちょっとだけいいですか?」

「あァ、まぁいいけど」


了承すると、Aはありがとうございます、と呟いては自身の携帯を俺に寄越した。真選組で支給されている携帯なので俺も同じものを持っているが、Aが使っているものだと思うとなんだか別物に見える。それを耳に当てて、「もしもし」と。


『もしもし、魔王?』

「……テメーは躊躇がねェなクソガキ」


迷うことなく『魔王』と言ってきた、目の前でニコニコとしているAの弟は、相も変わらずクソ生意気で何よりだ。

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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟   
作品ジャンル:アニメ
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樹里 - 今回も陽太くんかっわいいっ!!うちの弟もこうだったらなぁ〜 あと、全然関係ないんですけど、名探偵コナンに沖田総司っていう人が出ててめっちゃびっくりしました。ちょっとパクられたような気がしたんで、ソッコーでコレ読みました(笑) (2018年10月7日 18時) (レス) id: c11197eaa9 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 樹里(元茉莉華)さん» 樹里さん!お久し振りです!コメントありがとうございます!いい感じのところですね〜私もここらへんは苦戦しつつも書けるときはとことん楽しんでいたので、うまいこと盛り上げられたらいいなと思います!着実に成長していく二人をお見のがしなく!(笑)頑張ります! (2018年9月26日 23時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
樹里(元茉莉華) - ピピコさんお久しぶりです! なんかいい感じのとこですねっ!! 更新楽しみにしてます! (2018年9月25日 17時) (レス) id: c11197eaa9 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - ヒタキさん» ヒタキさん!初めまして!ありがとうございます!いっぱい読んでださってるんですね…!すごく嬉しいです!何度も読み返してもらえるようないいお話が書けていたらいいなと思います!これからもドキドキワクワクして貰えるように頑張っていきます!! (2018年9月6日 23時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
ヒタキ - こんばんは!初コメさせていただきました。ピピコさんのこの小説本当に大好きで何回も読ませてもらっています!!いつもドキドキワクワクです。これからも応援しています^^ (2018年9月6日 23時) (レス) id: 130f1442ec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/  
作成日時:2018年6月15日 19時

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