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俺だけだ 沖田side ページ4

『…死ぬ覚悟も、生き抜く覚悟もないのに、こんなとこ来ません…!!!』


…Aが初めて真選組の門を潜り抜けた時。それよりも以前からAのことを知っていた俺は、ここにアイツが居ることが許せなくて。ここに居させてはいけないと思って、Aを真選組から追い出そうとした。雨の中で偶然出会ったアイツは、本当に普通の、お人好しが過ぎる町娘で、俺達と同じ道を歩むことを選ばなければ、普通に生きて、本来の幸せを手に入れて、そんな幸せに頬を綻ばせながらに生きていくことが出来るはずなのだと。そんな幸せから遠ざけるわけにはいかないと、自動的にそう思っていた。だから、それだけのために俺はAに鞘から抜き出した刀を首もとに突き付けたのだ。怯えて逃げればいいと。お前が居るべき場所に帰っていけと。どうしても、俺達の世界に足を踏み込んでほしくはなかったのだ。

そのやり方はきっと、間違っていた。まだ一般人の、俺と同い年の女にいきなり刀を突きつけるなんて、トラウマレベルだ。けれど、どんな目で見られようと、どんなに嫌われようと、Aの本来の幸せを護れるのならそれで良かった。


けれど、Aは逃げなかった。剥き出しの刀を目の前にして、怯えてはいた。だが、真っ向から俺にぶつかってきたのだ。ここに自分が居ることが許されないのなら、それで自分を斬ってしまえばいいと。それくらいの覚悟の上で、Aは真選組に訪れたのだ。


そんなAが、弱いわけがない。そんなことは、


「…分かってやすよ、…んなこたァ、随分と前から、分かってるんでさァ」


…分かりきっている。そう簡単に敵に斬り伏せられてしまうほど、Aは弱くはない。あれだけの覚悟を、Aはもう持っている。他に何を求めるというんだ。何が足りていないというんだ。


──足りていないのは、俺だけだ。


「……総悟、」


不甲斐なさや拭いきれない不安に苛まれている俺に、土方さんは口を開く。視線を向ける気力は、俺にはなかった。けれど土方さんが俺を見ていることは、気配で分かった。


「…お前なら……お前らなら、大丈夫だと俺は思える」

「…、」


…なんて無責任なことを言うんだ、とは、思えなかった。どのような根拠があるのかはわからないけれど、きっと、俺を宥めるだけの薄っぺらい言葉ではないことだけは、分かった。


「…近いうちに、話をしてやれよ」


そう言って土方さんは、邪魔したな、と告げて、部屋から出ていった。ホントですよ、なんて悪態は、つけなかった。

なら、俺は? 沖田side→←一番、知っている 沖田side



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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟   
作品ジャンル:アニメ
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樹里 - 今回も陽太くんかっわいいっ!!うちの弟もこうだったらなぁ〜 あと、全然関係ないんですけど、名探偵コナンに沖田総司っていう人が出ててめっちゃびっくりしました。ちょっとパクられたような気がしたんで、ソッコーでコレ読みました(笑) (2018年10月7日 18時) (レス) id: c11197eaa9 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 樹里(元茉莉華)さん» 樹里さん!お久し振りです!コメントありがとうございます!いい感じのところですね〜私もここらへんは苦戦しつつも書けるときはとことん楽しんでいたので、うまいこと盛り上げられたらいいなと思います!着実に成長していく二人をお見のがしなく!(笑)頑張ります! (2018年9月26日 23時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
樹里(元茉莉華) - ピピコさんお久しぶりです! なんかいい感じのとこですねっ!! 更新楽しみにしてます! (2018年9月25日 17時) (レス) id: c11197eaa9 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - ヒタキさん» ヒタキさん!初めまして!ありがとうございます!いっぱい読んでださってるんですね…!すごく嬉しいです!何度も読み返してもらえるようないいお話が書けていたらいいなと思います!これからもドキドキワクワクして貰えるように頑張っていきます!! (2018年9月6日 23時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
ヒタキ - こんばんは!初コメさせていただきました。ピピコさんのこの小説本当に大好きで何回も読ませてもらっています!!いつもドキドキワクワクです。これからも応援しています^^ (2018年9月6日 23時) (レス) id: 130f1442ec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/  
作成日時:2018年6月15日 19時

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