【銀魂】沖田隊長、約束をしましょう【沖田総悟】

こんな体たらくでは ページ18

…言わなければならない。沖田隊長はこの話題を避けていたいのかもしれないけれど、それを望んでいないことは分かっているけれど、それでも言わなければならない。本当に真選組でありたいのなら。彼等と一緒に、一番隊の隊士として同じ戦場で刀を振るいたいのなら。その決意があるのなら、それを伝えなければならない。ぶつかって、言葉を交換しなければ何も変わらない。そんなことは、随分と前から分かっていることなのに、どうして口が開かないのだろう。顔をうつむかせて、手を握り締めているのだろう。何も出来ないままで、立ち尽くしているのだろう。彼は目の前に居るのに。次に彼と顔を合わせたら、ちゃんと言おうと決めていたのに。私は怖じ気づいたままで、まだ動けない。

…やっぱり怖いのだ。沖田隊長は、私の身を案じてくれている。戦場がどういう場所なのかよく知っているから、私が傷付く可能性が彼には見えていて、その場に私を立たせることを躊躇っている。それを私は押し退けようとしていて、その罪悪感があることは確かだ。けれど、そのことすら私は逃げる理由にしようとしていて、結局は自分が彼に「来るな」と言われてしまうことを一番に恐れている。

…遠慮していちゃ、怖がっていちゃ前に進めないことは、もう嫌と言うほどに痛感しているのに、私は、沖田隊長とうまく向き合えないでいる。


…でも、このままではいられない。刻々と時間は過ぎ去り、討ち入り当日の日にちは近付いているのだ。うだうだしている暇なんて残されてはいない。私は床の一点を見つめて、思考を巡らせる。それ以外の意識はシャットアウトする。


…私は、どうしたいのだろう。

決まっている。遠慮や恐れに隠れてしまっているけれど、私はそれでも、彼等と共に戦いたい。真選組として、彼等と背中を預け合い、護りたいと願うものを護りたい。ずっとずっと前から、それは明確に見えていたものだ。なら。


…なら、逃げてなんていられない。こんな体たらくでは、戦えない。


これじゃ、ダメだ。


「…あのっ、」


沖田隊長、と。上ずっていて、なんとも弱々しい声がその場に響いていった。緊張が完全に私を支配していて、その支配を振りほどけない。きっと情けない顔をしているだろう。もしかしたら泣きそうな目をしているかもしれない。そんな目で、私は顔を上げては沖田隊長を見据えた。沖田隊長もこちらに視線を向けてくれて、目がしっかりと合った。


「……どうした」


彼は私の表情を見てか、私が見た限りほんの少しだけ、ポーカーフェイスを崩した。

勝負→←非常に極端に

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