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次に顔を合わせたなら ページ15

…沖田隊長に仕事を変わって貰って、休憩の時間を頂いた後。勿論私は仕事部屋である沖田隊長の部屋に戻って仕事を再開させた。沖田隊長には、いっそのこと今日一日くらいサボってしまえばいいのに、なんてとんでもない提案が出されたけれど、私がそれをそうですねと受け入れるはずもなく、私はそれから、黙々と仕事をこなしていた。副長に相談したおかげか、休憩前より仕事に集中することが出来た。それは良かったのだけれど、私はそれからも、沖田隊長に討ち入りの件についての話を切り出すことが出来なかったのだ。なんてことのない言葉を交わしたくらいで、重要なことなんて何も話していない。私は何も言えなかったし、沖田隊長も何も言わなかった。

沖田隊長は、もしかしたらその話題をわざと避けているのかもしれない。そんな可能性が脳裏を過っていったけれど、そんなことは関係ない。彼が言い出さないのなら、私が言うべきだ。固い決意が私の中にはあるのだということを、彼に伝えなければならないのだ。けれど、気持ちではそう思っていても、いざ口に出そうとすると、言葉が萎んでいってしまう。


私に対する彼の気持ちを知っているから。
彼に首を振られてしまうのが怖いから。


その二つの理由で、私は口を閉ざしている。大事なことを伝えられないで、立ち尽くしている。


汗が額を伝っていく。竹刀を振るうたびに、その汗が散っていく。やっぱり、身体を動かしているといくらか気分が紛れる。考えつつも、まだ思い詰めることがないから楽だった。でも、いつまでも、こうしているわけにはいかないのだ。


…次に。次に彼と顔を合わせるときには、ちゃんと言うんだ。となると、明日になる。きっと今日はもう眠ってしまっただろうし、明日、ちゃんと伝えるんだ。そう、私は今も心に決める。


絶対に、次に顔を合わせたなら言うんだ。


と。そんな風に決めて、そろそろ休憩するかなと思っていれば、視界にふと、人影があるのを確認した。その方向に目を向けると。


「…沖田隊長?」


道場の扉から、沖田隊長がこちらを見ていることに気付いて、ちょっとだけびっくりして目を丸くさせる。彼はたまたま通り掛かったのか、軽く「よォ」と呟いた。


「…自主稽古かィ」

「え、えぇ。なんか……じっとしていられなくて…」


…なんていうことだ。次に顔を合わせたら言うんだと決めたそばから、顔を合わせてしまったじゃないか。そう答えながら、戸惑いを隠すように曖昧に笑って見せた。


……なんていうことなの、本当に。

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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟   
作品ジャンル:アニメ
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樹里 - 今回も陽太くんかっわいいっ!!うちの弟もこうだったらなぁ〜 あと、全然関係ないんですけど、名探偵コナンに沖田総司っていう人が出ててめっちゃびっくりしました。ちょっとパクられたような気がしたんで、ソッコーでコレ読みました(笑) (2018年10月7日 18時) (レス) id: c11197eaa9 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 樹里(元茉莉華)さん» 樹里さん!お久し振りです!コメントありがとうございます!いい感じのところですね〜私もここらへんは苦戦しつつも書けるときはとことん楽しんでいたので、うまいこと盛り上げられたらいいなと思います!着実に成長していく二人をお見のがしなく!(笑)頑張ります! (2018年9月26日 23時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
樹里(元茉莉華) - ピピコさんお久しぶりです! なんかいい感じのとこですねっ!! 更新楽しみにしてます! (2018年9月25日 17時) (レス) id: c11197eaa9 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - ヒタキさん» ヒタキさん!初めまして!ありがとうございます!いっぱい読んでださってるんですね…!すごく嬉しいです!何度も読み返してもらえるようないいお話が書けていたらいいなと思います!これからもドキドキワクワクして貰えるように頑張っていきます!! (2018年9月6日 23時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
ヒタキ - こんばんは!初コメさせていただきました。ピピコさんのこの小説本当に大好きで何回も読ませてもらっています!!いつもドキドキワクワクです。これからも応援しています^^ (2018年9月6日 23時) (レス) id: 130f1442ec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/  
作成日時:2018年6月15日 19時

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