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望むことは 沖田side ページ1

沖田side


『──Aのことは、どうするつもりだ』


「……さぁ。……どうすりゃいいんでしょうねィ」


…討ち入りにAを連れていくのか、いかないのか。

…土方さんの何とも単刀直入な問い掛けに、俺はそんな返事をしていた。いや、こんなものは、返事とも言えないかもしれない。その問い掛けの答えとして成立していない。こんな曖昧な、まるで逃げるような応答に、俺自身でも自分に呆れてしまうほどだ。けれど土方さんはその言葉に怒るわけでも眉を寄せるわけでも不満げにするわけでもなく、じっと真っ直ぐに俺を見据え続けている。いっそバカなんじゃねーのかと罵って、意気地無しだと笑ってくれればいいのに。その方がいくらか楽だったし、こんな気不味い間が出来ることもなかっただろうに。けれど、土方さんがそんなことを言わないことも分かっていた。……言えないだろうことは、分かりきったことだった。

きっと、土方さんとしても、俺にこんな話をしたくはないだろう。ただでさえ平和で朗らかな内容ではないし、互いの痛いところを突き合っているようなものだ。土方さんからしたら、俺にこんな問い掛けをすることにより、土方さんも少なからず傷付いているだろう。出来るならこんな話は、俺も土方さんも早いとこ終わらせてしまいたいと思っているだろう。けれど。


それではいけないことも、分かっていることだ。


「……A、何か言ってやしたか」

「……」


数時間前、上の空でいたAに俺が仕事を代わり、休憩してこいと命じたところ、休憩室にて土方さんとどうやら一緒に居たらしい。その時に、何か話をしていてもおかしくない。俺ではなく土方さんに話したのなら、あまり気分のいいことではないけれど、それはきっと、明らかに俺の非があると自分でも自覚していた。

…俺も、そのことをAから切り出されて、ちゃんと聞いてやれるだけの余裕があるとは、情けなくも思えなかった。


土方さんは少しの間口を引き結んで、それからゆっくりと口を開く。


「…Aは、お前と一緒に…、俺達と一緒に戦いてェっつってる。だが……、」

「俺にそれを、言えねェでいる」


土方さんが言い淀むように言葉を止めて、補足するように俺が言った。土方さんはやりづらそうにしながら、やがて小さく頷いた。

…分かっていた。Aがそれを望むことは。討ち入りが行われることが決定されるよりも前から、ずっと。Aが望んでいることは分かっていた。けれど。


…俺は、どうしても恐れてしまっていた。

この様は 沖田side→



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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟   
作品ジャンル:アニメ
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樹里 - 今回も陽太くんかっわいいっ!!うちの弟もこうだったらなぁ〜 あと、全然関係ないんですけど、名探偵コナンに沖田総司っていう人が出ててめっちゃびっくりしました。ちょっとパクられたような気がしたんで、ソッコーでコレ読みました(笑) (2018年10月7日 18時) (レス) id: c11197eaa9 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 樹里(元茉莉華)さん» 樹里さん!お久し振りです!コメントありがとうございます!いい感じのところですね〜私もここらへんは苦戦しつつも書けるときはとことん楽しんでいたので、うまいこと盛り上げられたらいいなと思います!着実に成長していく二人をお見のがしなく!(笑)頑張ります! (2018年9月26日 23時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
樹里(元茉莉華) - ピピコさんお久しぶりです! なんかいい感じのとこですねっ!! 更新楽しみにしてます! (2018年9月25日 17時) (レス) id: c11197eaa9 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - ヒタキさん» ヒタキさん!初めまして!ありがとうございます!いっぱい読んでださってるんですね…!すごく嬉しいです!何度も読み返してもらえるようないいお話が書けていたらいいなと思います!これからもドキドキワクワクして貰えるように頑張っていきます!! (2018年9月6日 23時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
ヒタキ - こんばんは!初コメさせていただきました。ピピコさんのこの小説本当に大好きで何回も読ませてもらっています!!いつもドキドキワクワクです。これからも応援しています^^ (2018年9月6日 23時) (レス) id: 130f1442ec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/  
作成日時:2018年6月15日 19時

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