第53話 出荷なんてさせない ページ4
レイ｢ママ、エマのその足…｣
ママ｢折れてるわ、完全に。私が折ったの。｣
レイ｢…｣
ドン･ギルダ｢!!｣
ママ｢大丈夫よ、上手く折ったから。傷一つ残さず、元通りになるわ。でも、しばらくは絶対安静。全治1〜2か月ってところかしら。
あなたの
レイ｢…｣
ママ｢ノーマン。その袋、後でこちらに頂戴ね。｣
レイ｢!!｣
ママ｢さ、お家へ帰りましょう。｣
ハウスに戻ると、お兄ちゃんはエマの所へ。
レイ、ドン、ギルダは、三人で話している。
私は…
ﾎﾟﾀｯ…ﾎﾟﾀｯ…
A｢なんで…私じゃないの…！｣
私は、涙を流して、絶望のどん底にいた。
その夜＿
ママ｢みんな聞いて。いい知らせよ。
ノーマンの里親が決まったの。急だけど、明日夜の出立よ。｣
ラニオン｢えっ｣
ナット｢明日…？｣
ドミニク｢おめでとう！｣
ﾊﾞﾘｰﾝ…
シェリー｢えっ…ええええええええ!!?｣
お兄ちゃんは、みんなに囲まれて、笑っていた。
私は、そんなお兄ちゃんを見ていられず、部屋に戻った。
A｢うっ…ううっ…｣
ｺﾝｺﾝ
｢俺だ、入るぞ。｣
ｶﾞﾁｬ
A｢レ…イ…｣
顔を上げると、レイが立っていた。
レイ｢明日、ノーマンを逃がすぞ。｣
A｢え？｣
11月3日 金曜日
ｶﾗﾝ、ｶﾗﾝ
いつも通りの朝だった。
全員｢いただきます。｣
ごはんを食べて、テストを受けて
そう“幸せな孤児院”
全ていつも通り。
A｢お兄ちゃん…｣
レイ｢大丈夫。うまく行く。｣
そして、
夕方＿
ｶﾗﾝ、ｶﾗﾝ
ﾄﾞｸﾝ
ラニオン｢あれ？｣
トーマ｢どした？｣
｢いない…｣
ﾄﾞｸﾝ
ママ｢ノーマンがいない。｣
ママは、時計を見て、そう言った。
ママの言葉に、ざわめく子供達。
ママ｢みんな、お家へ入っていなさい。｣
お兄ちゃんを出荷なんて
させない──
A｢っ！なんで…｣
足音がして、私は振り向いた。
A｢お兄…ちゃん…｣
エマ｢なんで…？｣
ギルダ｢嘘…｣
ドン｢なんで…｣
────────────────
レイ｢てめぇ…！どういうつもりだ!!ここにいりゃ、死ぬんだぞ！今すぐ逃げろ、姿消せ!!｣
ノーマン｢嫌だ。逃げるつもりはない。｣
レイ｢は？｣
ノーマン｢それより聞いてほしい、時間がない。
報告、逃げ道の下見。崖だったよ。｣
A｢え？｣
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作者名：苺の花 | 作成日時：2019年6月11日 2時
