第61話 レイの覚悟 ページ12
レイ｢よし。じゃあ、今から決行しよう。｣
ｶｺｯ…ｺﾞﾎﾞｺﾞﾎﾞ、ｺﾞﾎﾞｺﾞﾎﾞ、ﾊﾞｼｬｯ
レイは、食堂にオイルを流し始めた。
エマ｢レイ…｣
レイ｢大丈夫。｣
エマ｢？｣
レイ｢
本当言うとな、俺はやっぱり｢全員｣には反対だ。
ムリだと思う。崖だったし、より一層…
連れて行ってもドン･ギルダまで、それが正しいラインだと俺は思う。
せめて、赤ん坊だけでも置いて行くべきだ。お前らのためにも、
まぁでも、お前らは止めたって聞かねえし、それでお前らが逃げずに残るよりゃいい…ずっといい。
だから、これ以上は言わない。最終的にはお前らが決めろ。｣
ｺﾞﾎﾞｺﾞﾎﾞ、ｶﾗﾝ
レイ｢さぁ、何してる？ドンとギルダに伝えて来い。｣
エマ｢…ねぇレイ…一つ気になったんだけど…火事を起こしてもさ…ママがもし建物を放棄したら？
ママは火を消すことを諦めて、私達商品から目を離さないかもしれないでしょ？｣
レイ｢…気づいた？
そう、確かにその通り。その可能性も存分にある。ただ火事を起こすだけじゃ不十分だ。
確実にママの手を塞がなきゃ、ママから逃げる隙をつくれねぇ。｣
エマ･A｢…｣
レイ｢でも問題ない、考えてある。
シンプルな話さ、こうすればいい。｣
ﾄﾞﾊﾞｯ
レイは、オイルを自分の頭にかけた。
エマ･A｢レイ!!?｣
レイ｢サイコーだろ？出荷が決まってる
この日を待ってた。ずっと前から決めていたんだ。何年も…何年も前から。ガキ臭い腹いせさ。
俺はね、エマ、A。もともと勉強も読書もさほど好きじゃないんだよ。けど我慢して…努力して…吊り上げてきた。自分の値打ちを…
12年、待ちに待った
それを今夜、
食えると思うなよ？食わせられると思うなよ？食用？商品？知ったことか！俺は人間だ！ザマァ見ろ!!｣
A｢レイ…｣
レイ｢それに、これでいい…これがいいんだよ。
俺は、家族をずっと見殺しに…踏み台にして来たんだから。みんな…いい奴らだったのに…優しい人達だったのにな…｣
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作者名：苺の花 | 作成日時：2019年6月11日 2時
