【約ネバ】兄妹

33 ページ33

我ながら嫌気がさす。


まさかずっと一緒にいた兄弟を疑うなんて。




…しかも、真っ先に怪しいと思ってしまったのが






レ「アイ？また眠れねぇの？」




『………レイ』




レイだなんて。





内通者がレイなら私達は1番困るし、敵から見ればこれ以上ない適任者だ。


もし私がママの立場ならそう考える。


作戦にも口を出せて、私達を制御することだって容易にできるのだから。






…でもこれはあくまでも私の勝手な憶測。

事実じゃない。




『…ねぇ、レイ』



レ「ん？」





レイが私達を裏切るはずがない。





『レイは…そんなことしないよね……？』




まっすぐレイを見つめると、レイは驚いたように見えた(一瞬だけだったけど)。




レ「急にどうした？


もしかしてお前が寝てる間、顔に落書きしようとしたのバレてた？」


『…はぁ？そんなことするつもりだったの？


レイもまだまだ子供だね』


レ「11歳なんてまだガキだろ？」


『…そうだけど！』



何も言い返せないのが悔しくて下を向くと、慣れた手つきで頭を撫でられた。


レ「明日もめちゃくちゃ訓練するだろ？


早く寝よーぜ」


『……うん』




ほら、やっぱりレイは優しいじゃないか。


しかもこんなに不器用なのだから、私達を騙すなんてレイにはできっこない。





そう…信じてるから。

34→←32

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す