ヤキモチ彼氏くんたちの話。2 ｰ短編集ｰ

【狼男】川村壱馬 ページ32

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金曜日の夜、22時頃
金晩という名の騒がしい繁華街を抜けて
静かな通り、私の家の帰り道

何でだろな、金曜日の夜、土曜日の夜
って何か空気が違う気がする
繁華街に繰り出さない人たちにとっても
特別な夜な気がする


今日は今週の自分へのご褒美に
コンビニでちょっと高めのスイーツ買っちゃおっ
軽快な足取りで、自分の好きなものを
カゴへと詰め込んでコンビニを後にした








？「う゛…」







もうすぐ家に着くと思うと
嬉しくなってスキップをした矢先
前方に丸まっている人を見つけた

見た目は黒いフードを被っていて
うずくまっている。体調、悪いのかな？
でも…こんな夜遅くに、ちょっと怖いよね
あんまり関わらない方が自分の為かも…


そう思って、少し遠目に見ながら
一度は通り過ぎた
大丈夫かな。そう思って、ゆっくり後ろを
振り返ると、彼が倒れている

思わず駆け寄って、仰向けにしよう
触れた身体が熱い
チラリと見えた表情もすごく辛そう







「だ、大丈夫ですか…？」







おでこに手を当てると驚くほど熱くて
あたふたしながら、彼を運ぼうとした

でも女の私じゃ、彼はさすがに重くて
救急車を呼ぼうと携帯を取り出した手を
凄い力で掴まれ、思わず携帯が手から滑り落ちた








壱「…いい」


「でも…っ」


壱「呼ばんで、いい…っ」









呼ばなくていいと言われても
彼の身体は火照り、ぐったりしていて
このままココに置いていくわけにもいかない

どうしよう…
すると辛そうな彼の姿に
無意識に声を掛けていた







「私の家っ、近くなので！歩けますか…？」


壱「っはぁ…は…」








ぐったりしながらも
立ち上がろうとする彼に肩を貸すように
自分に身を委ねてもらった

小さく頷く彼をゆっくりと連れて
自分の部屋のベッドに寝かせる
よく見ると…綺麗な顔


とりあえず、汗もかくだろうから
フードを脱がせようとファスナーに手をかけた
その時、

彼はまた私の腕をグッと掴んだ
その力は、さっきよりも強くて痛い







「いっ…！」


壱「っは…触んな…っ」








さ、触んな…？
人様の家のベッドに寝転びながらよく言う…
ブツブツ心の中で不満を言うも
相手は病人

顔を歪めてしんどそうに吐息を漏らす
どこの誰かも知らない
しかも異性を家にあげるなんて
思いもしなかった

とりあえず、熱を下げなきゃ
私はまたさっきの道を戻り
コンビニで、おでこに貼るシートや
栄養剤を適当に買って帰った









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