ヤキモチ彼氏くんたちの話。2 ｰ短編集ｰ

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少し真剣になった綺麗な瞳
胸がドキンと痛くて、時が止まった

ザワつく廊下の女子たちの悲鳴は、
もう私には聞こえなくて、
彼の瞳に吸い込まれるように、口が勝手に動く







「ぜ…ぜひ…っ」


壱「おい北人、コイツ俺のやから手出すな」








急に真っ暗になる視界
おとぎ話は終わってしまったのでしょうか
北人くんを見ていた私は
彼に抱きしめられていた







北「俺の？」


壱「そう、今日からコイツ俺のやから。ちょっかい出すなよ」


「ち、違います…！」


壱「は？お前の意見は聞いてない。…戻って来い」








慌てて否定するも、彼はわたしの話なんて
一切聞いてくれなくて
彼を突き放して、北人くんの後ろに隠れて
服をぎゅっと握った







北「まぁまぁ…壱馬は強引だからね、何となく予想はつくけど」


壱「うるさい、A、こっち来い」


「嫌だ」


壱「…お前ナメてるん？」


「ひ…っ」


北「壱馬、そういう言葉…女の子に失礼」


壱「お前には関係ねぇんだよ」


「や、ちょ…」







無理やり彼に捕まれた腕
振り払うことも出来ずに
人気のない場所へ連れていかれる


え、私今から何されるんだろう
殴られたり…襲われたりしないよね…？


足取りが更に重くなる私に、気付いた彼は
壁に私を寄せ、押し付けた






顔の両側に、腕を置かれた瞬間
腕の下から逃げようと、しゃがみこんで
本能が身体を動かしたけど


それは彼に阻止され、
彼も、私と目を合わすようにしゃがみこみ
完全に、逃げ場を失った








壱「…逃がさん」


「何で…わたし…」


壱「…一目惚れした」









え…？
適当に私を選んだわけじゃないの…？
驚いた顔で彼を見ると
彼は照れくさそうに、目を少し逸らした







「照れてるの…？」


壱「うっさい」






あんなに強気な王子が照れてるところ
初めて見た
そのギャップが、不覚にも私をキュンとさせた

キュン…？？
嘘でしょ、私、今彼にキュンってした？







壱「嫌やろうけど…試しでもいいから彼女になって」


「でも…」


壱「…絶対好きにさせるから」








目を逸らして俯く私の顎を
下から持ち上げて、目を合わせる

この近さ…またキスされそう…
そう思うと、また胸が、キュン、ドクンってなる
意識したくないのに…意識しちゃう









壱「…Aを守るって約束する」









神様…きっと私が、彼に落ちるのは
…時間の問題です。









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