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参拾肆 ページ38

「.....あれ?」

Aは目を覚ますと自分の手足に違和感を覚えた。

ジャラッ

Aはその音を聞くとすぐに起き上がった。

「何、此れ....」

Aの手足には手錠がしてあり、その鎖は全て一箇所の柱に釘で繋がれていた。

「中也お兄ちゃん?メアリー?」

昨日迄居た部屋の筈なのに、手錠の存在を知ったAにとっては恐怖でしかなかった。

中也「A。」

「中也お兄ちゃん!ね、ねえ此れ何?それにメアリーは何処行ったの?」

Aの質問に中也は何も云わずベッドに座り優しくAの頭を撫でた。

中也「なあA。Aの兄は誰だ?」

「え...フェージャ、お兄様....きゃっ!」

Aがそう答えた瞬間中也は撫でていたAの髪の毛を掴んだ。

中也「違うだろ?良いかA?Aの兄は俺なんだよ。彼奴じゃねえ。」

「ちゅ、中也お兄ちゃん何云って...め、メアリー助けて!メアリー!!」

中也「悪いが彼奴は俺の異能力で少し痛め付けたからよ、当分目は覚まさないぜ?」

「...して、どうしてそんな酷い事するの!そんな事する中也お兄ちゃんなんて嫌い!大嫌い!!」

中也「....んで、何でそんな事云うんだよ!!」

中也はAの髪を掴んだままベッドに押し付け、Aは中也の怒りの表情に身体を震わせた。

中也「彼奴よりも俺の方が兄に相応しいだろうが!俺はAの行きたい場所に連れて行ってやったんだぞ!?Aがしたい事してやったんだぞ!?彼奴よりも!彼奴よりも沢山沢山Aの願いを叶えてやったじゃねえか!!なのに何で彼奴なんだよ!あんな奴兄でも何でもねえじゃねえか!!俺の方がAを思う気持ちが強いに決まってんだろ!!なのに...何で彼奴がAの兄なんだよ!!」

Aは恐怖で身体を震わせ、必死に心の中でフョードルに助けを求めた。

中也は狂ってる。

自分が狂わせてしまった。

Aは後悔した。

こんな事になるなら自分が中也を追求しなければ良かった。

あの時助けてもらってそのままさよならすれば良かった。

そうすればこんな事にはならなかったのだから....

「え?」

Aの頬に冷たい雫が落ちると、中也は涙を流していた。

中也「なあA。云ってくれたよな?"私のお兄ちゃんにならない?"って。あれをもう一度云ってくれよ。そうすれば俺はすぐにはいって答えるからよ。なあ、頼むよ。」

「中也、お兄ちゃん....」

Aは暫く黙り込み、やがて口を開いた。



「ねえ、私の___」

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作者名:迷ヰ猫 | 作成日時:2019年7月16日 1時

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