Ｔｏｐａｚ (ページ35)

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思い出の＿5 ページ35

涼介side

涼「え？」

慧「涼ちゃんは覚えてないかな～？鍋焼きうどんが俺の得意料理になった日のこと」

………ううん、覚えてるよ。

同じこと考えてたんだなって、恥ずかしくなっただけ。

慧「小さい涼ちゃんはとーっても可愛かったんだよ！慧くん大好き！ってほっぺにチューしてもらったなぁ」

涼「待って、そんなことしてない」

………大好きくらい子供だから言ったかもしれないけど……最後のは絶対話を盛ってる。

慧「そっかそっか、もう覚えてないかぁ」

涼「いや、してないからね！？」

慧「涼ちゃんったらツンデレなんだから～」

気分が悪くなりそうなほどニヤニヤしている慧くん……その適当さには相手をしてはいけないと大ちゃんに昔教えられたっけ。

慧「怒らないの～今も可愛いよっ」

涼「そうじゃなくて……」

慧「涼ちゃん全然食べてない！あーんしてあげようか？」

涼「あれは小学生の時の話！」

慧「………ふふふっ」

怒られてやっと満足したのか……嬉しそうにうどんを平らげた。
実の父親ながら、不思議な人。

＿＿＿

慧side

あれは……涼介が小学一年生のとき。

慧「涼ちゃん、お熱あるから慧くんとお留守番してようね」

大貴はお母さんとお友達のところへ遊びに行って、家には俺と涼介が残った。

本当は涼介もお外にお散歩にいこうって話してたんだけど、この日に限って落ち着いていた体調が悪くなってしまって。

涼「ふぇっ……おさんぽ、」

慧「元気になってから行こう？」

病院と自宅の行ったり来たりで回りの同年代の子よりも小さくて、好奇心旺盛だった大貴とは違い甘えん坊でべったりな涼介。

涼「りょうちゃん、げんきになるの…？」

慧「絶対元気になるよ」

涼「がっこうも、？」

慧「ぴかぴかのランドセル背負って行くんだもんね」

ベッドから起き上がれないのに、俺の服の袖を掴む手はとても強くて。

ぜったいはなれちゃだめだよ、と言葉だけじゃなく……心から伝わってくる。

……ほんと可愛いんだから……

慧「お腹空いたね、朝ごはん食べよう。お粥作ってあるからね」

涼「んーん、りょうちゃんおかゆ…いらない……」

あらら、まあ……そうだよね。

普段から少食の涼介に、熱を出して怠いときに一口でも食べてもらうのがどれだけ大変か……若くて美人の看護師さんですら成し得ないのだ。