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21話 ページ21

妹は台所に行き、乱れた髪のまま割烹着を着て米を研ぎ始めた。


俺は呆然とその姿を見ている。

手際良く野菜を切って油の準備をしている。


瞬く間に食卓に並べられた食事は、とても懐かしく感じた。


獪岳「…どういうつもりだ。」


A「早く食べて!冷めちゃうよ。」


髪を結い直しながら食を進めてくる。

鬼になってから普通の食事をすることがなかった。


ちらりと妹を見ると、笑顔でじっとこちらを伺っている。

なんだ、毒でも入っているのかと考えたが、頭の悪い妹にそんなことはできるはずがない。


天ぷらをつゆにつけて口に入れると、さくさくの衣からやわらかい茄子が口に広がる。

懐かしくて美味くて、思わず笑顔になった。


A「あ…お兄ちゃん、笑った…」


小声で言った後ニコニコしながら妹は箸を進めた。



食事を全て食べ終わり、Aが食器の片付けをして戻ってくる。

顔にも首にも傷や噛み跡がのこっている。

痛々しい姿を見て、あのカスはどう思っただろうな


獪岳「…なんなんだよ…」

A「え?何?」


獪岳「…お前なんなんだ。昔から。
どんなに突き離しても俺から離れねえ。
小さい頃ならまだしも、今だって…お前、馬鹿にも程があるだろ!頭おかしいんじゃねえのか!?」


Aは驚いた表情で視線を落とす。



A「……お兄ちゃんは、私のお兄ちゃんだから。
先生はね、お兄ちゃんがどんなになっても弟子だって言ってたの。
それと同じで、私もお兄ちゃんが鬼になったとしても大好き。
だって私のお兄ちゃんなんだもん。
馬鹿でも、何もできなくても、見捨てないで側においてくれた。
お兄ちゃんには、感謝してもしきれないの。」



獪岳「……ハッ!
やっぱり天性の馬鹿だな!
お前より馬鹿なやついねえよ!


A「…うん。馬鹿だよ。
だから、大好きな先生のこと殺したお兄ちゃんも、大っ嫌いだなんて思えないの。殺したいとも思わない。
馬鹿でよかった。
お兄ちゃんは、鬼になっちゃったから、酷いことばかり言うんでしょ?
わかってるよ。鬼なんだもん。人間じゃない。」


悲しそうに顔を歪めて続ける



A「お兄ちゃんに何があったのかはわからないけど、私も善逸君も先生も、ずっとお兄ちゃんのことが好きだったよ。家族だった。
私、何もできないし、弱いけど、お兄ちゃんの心を埋められるかもって思ったの。
お兄ちゃんに、幸せになってほしかったの。」

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pocky - 面白い!とっても素敵な作品ですね!! (2020年6月29日 22時) (レス) id: 67e63b3be0 (このIDを非表示/違反報告)
絵宙(えそら) - 読んでる時の感想→「え?え?なんで優しいお兄ちゃんの獪岳が私(夢主)殴ってるの!?作者さん嫌い…いや嘘だけどさ、本当は大好き!!でもどうしてこうなった?あ、最後の獪岳の言葉身に染みる」って感じでうるさかったです…素晴らしいですね(さっきの言葉どうした) (2020年3月23日 2時) (レス) id: 63faa5bcfc (このIDを非表示/違反報告)
実弥LOVE(プロフ) - 最後の獪岳の一言で私の涙腺が崩壊した。 (2020年2月24日 23時) (レス) id: 3871cda528 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶タピオカ2号(プロフ) - めっちゃ面白いえ、本当に面白いんだけど!( ゚ロ゚) (2020年2月20日 10時) (レス) id: 48661705e7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 続きが見たいです!!! (2020年2月18日 12時) (レス) id: 35ab4fcffb (このIDを非表示/違反報告)

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作成日時:2020年2月16日 2時

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