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「…あ、あれ、なんで泣いてるんだろうね…ははは…。」
牛「そっか、そっか。」
何故かお兄ちゃんが眉を顰めて苦しそうな顔をする。そして腕を広げて優しい声で「おいで。」と呟いた。
遠慮なく、お兄ちゃんの腕の中に泣きつく。安心したのか止まらない涙。
牛「Aは頑張ったなぁ、えらい。」
牛「…よくやった、それでこそ俺の妹だよ。」
お兄ちゃんの大きな手で頭を撫でられる。この感覚は何年振りだろう。
牛「キヨに聞いたけど、お前、泣かなかったんだな。」
牛「大人になったな。」
牛「Aが作った作品は無駄なんかになってないから。だから、また兄ちゃんに見せて、な？」
……昔、お兄ちゃんに似顔絵を描いて見せたことがあったな。小学生くらいだったから別にうまくもないのに「上手い！天才か？」なんて褒めてくれて、……最近見せてなかったな。
頷くと満足そうなお兄ちゃんの顔。
牛「レトルトが本当、心配してたよ。」
牛「…夜ご飯、食うか？今日はな、レトルトが作るらしい。…な？食べようぜ。」
「うん、食べる。」
牛「うまいかどうか、わかんねぇけどな。」
「ふふ、まずかったらどうしよう。」
牛「二度とうちのキッチンには入れないようにしようぜ。」
「そうだね、まずかったらそうしようか。」
自然と笑みが溢れる。「よし、じゃあ行こっか。」と言って手を差し出された。…今日は本当、迷惑かけたなぁ。
差し出された手を取って、そのままリビングに向かった。久しぶりに繋いだ兄の大きな手を離さないようにぎゅっと握って。
レ「あ！Aちゃん降りてきた！」
レ「お口にあうかわからんけど…俺の料理。」
目元の皺がかわいいレトさんのにこにこ笑顔でリビングに招き入れられる。私と兄の想像とはかけ離れたおいしそうな料理に2人で目を合わせて笑う。
レ「ええ…？！なんで笑ってるん…！！」
牛「いやあ…レトルト本当に料理できるんだなぁ、ってな！」
「ね。この調子ならレトさんにも作ってもらうかな。」
レ「えー！明日はAちゃんの料理な！」
本当のいつもの日常に戻る。明日からはいつも通りに。
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作者名：抹茶ふらぺちーの！ | 作成日時：2021年7月29日 0時
