忘れ物とメガネ ページ9
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Aside
その後のことはよく覚えていない。
涙って、どうやって止めるんだっけ。
立ち尽くしながら、
そんなことを何度も考えたことは覚えてるかな。
泣きじゃくった顔でみんなとコンビニに行けるわけもなく、
急用を思い出したことにして、倫太郎に断りのLINEをすると、そのまま帰路に着いた。
帰ったら帰ったで、人目をはばからなくていいって思ってまた溢れて。
次の朝鏡で自分の顔を確認して、
ああ、何もかもめちゃくちゃだ、って思った。
それにしてもひどい浮腫よう。
どうにか誤魔化したいけど普段から裸眼なもんで
普通のメガネの代わりに伊達メガネをかけてみた。
今日は朝練がある日。
恐る恐る体育館に行ってみると、まだチラホラとしか部員は来てなくて
宮兄弟の姿がまだないことにほっと胸を撫で下ろす。
倫｢……おはよ。｣
A｢わっ、！｣
倫｢そんなに驚かなくても。笑｣
A｢考え事してて。おはよ、倫太郎。｣
私の背後から現れた倫太郎に、挨拶を返す。
倫｢はい、これ。｣
A｢え？｣
差し出されたのは、私のタオル。
倫｢昨日忘れて帰ったでしょ。｣
A｢あ、ほんとだ……｣
ありがとうってお礼を言いながら、それを受けとった。
ちょっとその場を離れるつもりで放っておいたんだった。
倫｢ところで。｣
A｢ん？｣
倫｢何なの？そのメガネ。｣
A｢あー……コンタクト、切らして。｣
倫｢へえ。｣
目を細めながらじーっとこちらを見てくる倫太郎。
なんか、すごく見透かされそうな……
倫｢…この前、自分が裸眼で視力が良いこと侑に自慢してたよね。｣
A｢……っ！！｣
痛いところを突かれて目を泳がせてると
なんでこんなもん掛けてんの、って
ひょいとメガネを取られる。
もちろん
露になった酷い顔に、気づかない訳なくて。
倫｢……なんかあった？｣
そう、いつもより少しだけ優しい口調で聞いてくるから、泣きそうになる。
目尻が熱くなるのを必死に耐えて
A｢……、ちょっと、嫌われちゃって。｣
重くならないように声色に明るくしながら、それだけ答えた。
私の返事を聞いた倫太郎は
それ以上聞いてくることはなくて、そっとメガネを掛けられる。
倫｢昼休み聞いてあげる。｣
なんて、ちょっと上から目線で言ってくるから
何だかおかしくて、少し笑った。
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名無し86757号(プロフ) - いつかのイラストを描いていた者です。2年ぶりに最初から読みましたが本当に素敵な作品でずっときゅんきゅんしています。いつまでも待ってますのでこの素敵な恋を素敵な形で完結していただきたいです。 (9月5日 21時) (
レス) id: 717f7bf83d (このIDを非表示/違反報告)
_zh(プロフ) - 面白い作品ほど作者が失踪するジンクスを実感しています。いつか戻ってきてくれるという淡い期待を持ちながらお気に入り登録しますね。 (8月30日 21時) (レス) @page43 id: d3a24f0cd7 (このIDを非表示/違反報告)
カービイ - ぼ、僕も!!!お話すごくおもしろかったので更新待ってますね。頑張ってください!!! (2022年8月5日 21時) (レス) @page39 id: 16e8e39b36 (このIDを非表示/違反報告)
サリア - 続き待ってます (2022年8月3日 4時) (レス) @page39 id: cceeb02c56 (このIDを非表示/違反報告)
サリア - 涙線崩壊してまった,,,この作品好き過ぎる (2022年8月3日 3時) (レス) @page29 id: cceeb02c56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らな。
| 作成日時：2021年2月13日 0時
