好き。…嘘、大好き。〜after story〜[佐野玲於]

琴音さん ページ43

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Aside




ライブから数日後。


私はとあるテレビ局の楽屋にいた。




……というのも。




A｢……台本忘れるとか、どうかしてる。｣


玲於｢だよな、誰かさんのドジが移ったのかも。｣


A｢その誰かさん、私とか言わないでよ？｣




…玲於くんが家にドラマの台本を忘れたから。


朝から電話が掛かって何事かと思えば、
俺ん家に台本あるから持ってきてって。



…ほんと、有意義なオフの日なのに、朝からドタバタだよ。




玲於｢…そういえば、今日龍友くん達もここ来てんだけど。｣


A｢あ、会ったよ！怪我のことすごく心配された。｣


玲於｢ふは、笑｣




目に浮かぶわーって、笑ってる。



ほんとに、大丈夫か？ほんまに大丈夫か？ってめちゃくちゃ心配されたんだよね。


怪我、もう治る一歩手前なんだけど。





台本を届ける役目は終わったから帰ろうとすれば、下まで送るって玲於くんついてきて。


それならって、歩きながら他愛のない話してたら、玲於？って後ろから彼を呼ぶ声がした。




琴音｢やっぱり玲於だ！｣


玲於｢琴音……｣




振り返って、その顔を見てドキリ。


玲於くんが呼んだその名前を聞いて、さらにドキリ。


一気に私に緊張が走った。




琴音｢あ、この前会いましたよね？…Aさん、でしたっけ？｣


A｢こんにちは。名前覚えてくれてて嬉しいです。｣




琴音さんは、綺麗な笑顔を私に向けた。


悪気なんて少しも感じない、絵になる笑顔。



彼女に合わせて私も笑ってみせるんだけど、
なんだかぎこちないのが自分でわかる。




琴音｢どうしたんですか？ふたりで。｣


玲於｢雑談で盛り上がってた。｣


琴音｢そうなんだ！｣




変に思われないよう、サラリと流した玲於くん。




玲於｢琴音こそ、何か俺に用だった？｣


琴音｢あ、そうそう！今日撮影早く終わるでしょ？玲於、仕事それで終わり？｣


玲於｢…そうだけど。｣




玲於くんがそう答えれば、琴音さんは、
やった！って、可愛く喜んだ。




琴音｢じゃあさ、今日ご飯行こうよ！ふたりで！｣




A｢……え、｣






心臓がまた、嫌な音を立てた。




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