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私の前の席に腰掛けながら、わからんのかあ、と侑くんが復唱する。偶然にも、侑くんと私の席は、席替えをしようがなんだろうがだいたい近い。
「わからんのですよ。私もね、あれから二年も経てばね、自分の気持ちに蓋をするくらいできるようになったわけでね」
今思えば、昔の私は驚くほど愚直だった。現在の私は気まぐれのように与えられる「好き」に、飢えた小鳥のように食いつくことはしなくなったわけで。でも、胸の奥が痛くて痛くて、こんな感情は知らないから、きっと未練タラタラなんだと思う。そのアンバランスさが、酷く気持ち悪い。
「治くんも何考えてるのかわからないし……」
あのお昼の時間は、そして「好き」はなんなんだろう。形骸化したものか。治くんは、何一つとして読ませてくれない。
たとえ形式的なものだとしても、そんな言葉を私に吐くということは、彼はまだ特定の相手が出来ていないのだろうか。何回か、噂は耳に入ったけれど。そんな推測をして、そうだったら嬉しいけど、でも嬉しくない。そんな感じで、グラグラと不安定な気持ちだ。
「うはー、拗らせとるなあ」
「せめてその嬉しそうな顔、隠そうとしてよ……」
どうやら侑くんは、徹底的に楽しむことに決めたらしい。でも、そんな態度は、かえって気が楽だったりする。私が本気で落ち込んでいる時は励まそうとしてくれるし。そういう奴だ。
「せや、A。今度練習試合あるんやけど、見にこぉへん？」
「は、」
思い出したようにぽんと軽い様子で投げつけられたその言葉に、私はぽかんとした。
侑くんは知っているはずだ、私は体育館になるべく近寄らないようにしている。一年生の頃からずっとだ。迷惑をかけたくなんてないし、しかもなぜこのタイミングで。
「もう時効やて。知っとるやろ、『もう別れた』って認識やで、お前ら」
「あー……まあ、そうだね」
私と治くんのあからさまに開いた距離を見て、周りはそういう結論に至ったらしい。妥当な判断と言えよう。お決まりのように飛んできていたお昼の「老夫婦みたい」という一言も、もう長いこと聞いていない。
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さかき(プロフ) - mimiさん» 話数的にあと一話だけなら書けそうです。内容によっては私に向いてないかもしれないんですけど、もしよかったらリクエストとかありますか？あるようでしたらボード？にお願いします (2019年9月19日 7時) (
レス) id: 8018115b1b (このIDを非表示/違反報告)
mimi(プロフ) - 初コメ失礼します。きついです、この作品まだまだ続いて欲しいです…（ ; ; ）本当に2人とも可愛くて… (2019年9月19日 2時) (レス) id: 4447061f23 (このIDを非表示/違反報告)
さかき(プロフ) - 瑞稀さん» やったー！好きとか可愛いとか言って貰えて嬉しいです！治は甘え上手なイメージがあります笑番外編も楽しんで貰えたら幸いです！ (2019年9月18日 23時) (レス) id: 8018115b1b (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - あぁぁぁ！！！めっちゃくちゃ好きです！！！番外編も嬉しいですありがとうございます！！治くん甘えた可愛すぎて… (2019年9月18日 18時) (レス) id: be8945b53e (このIDを非表示/違反報告)
さかき(プロフ) - まゆ。さん» おつありです！満足いただけたでしょうか。治で書くかどうかは分かりませんが、書きたいネタはいっぱいあって私自身ワクワクしてるので、よかったらまた読んでやってください！お粗末さまでした！ (2019年9月18日 16時) (レス) id: cb48af79f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さかき | 作成日時：2019年8月9日 17時
