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あれ、ヤバい。治くん、怒ってる？ 今更なことに気が付いて、背筋を冷や汗が伝う。
一限目が終わり、休み時間。手を引かれて教室から連れ出された先は、人通りの少ない校舎の端っこの階段。治くんに手を握られていて私が抗えるはずもなく、大人しくここまでついてきたけれど、ずんずんと足早に進む様子は確かに腹が立っているときのそれだ。
「あの、治くん」
「なんや」
「なんで、怒ってるんですか」
何に怒っているのか分からないというより、心当たりが多すぎた。私は諦めて、素直に尋ねる。ずっと半歩前を歩いていた彼がぐるんとこちらを振り返って、小さく舌打ちする。
「……イケメンが舌打ちすると迫力あるね」
「今そういうのいらんねん」
「ごめん」
怒鳴っている治くん、というのは割と見慣れている。片割れとよく口論しているから。でも、静かに怒っている治くんは初めてかもしれない。ちょっと空気を和ませよう、という思惑は一刀両断された。
「なんなん、『侑を好きになれとったらよかった』って」
「……聞いてたんだ」
ごめんね、と謝罪する。でも、それは侑くんにそうした時よりも感情がこもっていない。だってそうだよ、そうだったらよかったのに。
「失礼を承知で聞くよ。私のどこがいいの？」
「失礼を承知で聞くで。なんでそんなに自信がないん？」
「質問を質問で返すのはよくないよ」
「自分の意見は聞いてへん」
わあ怖い。いや別におちょくってるわけじゃなくて、単にそう思った。やっぱり侑くんと同じＤＮＡだなぁ。
それでも私は意外と冷静で、多分それは、いつかはこうなるだろうと予感していたからだ。控えめに言葉を紡いだ。
「あのね、治くん。私治くんのことが大好きなんだよ。それこそ初対面でプロポーズするくらいには」
「おん」
「だからこそだよ、治くんは私程度につかまっていい男じゃないよ」
自分のことくらい、ちゃんと把握できているつもりだ。容姿は好みにもよるだろうけど、一般的には中の上ってところか。勉強は割とできる。運動神経は悪い。あと胸がない。愛嬌はなくもない、かな。それから――。
もろもろを総合して、ばっさり切り捨てられることもないだろうけど、だからって優良物件だという人もいないだろう。普通上等、でもそれは相手もその枠にはまってくれた場合だけだ。
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さかき(プロフ) - mimiさん» 話数的にあと一話だけなら書けそうです。内容によっては私に向いてないかもしれないんですけど、もしよかったらリクエストとかありますか？あるようでしたらボード？にお願いします (2019年9月19日 7時) (
レス) id: 8018115b1b (このIDを非表示/違反報告)
mimi(プロフ) - 初コメ失礼します。きついです、この作品まだまだ続いて欲しいです…（ ; ; ）本当に2人とも可愛くて… (2019年9月19日 2時) (レス) id: 4447061f23 (このIDを非表示/違反報告)
さかき(プロフ) - 瑞稀さん» やったー！好きとか可愛いとか言って貰えて嬉しいです！治は甘え上手なイメージがあります笑番外編も楽しんで貰えたら幸いです！ (2019年9月18日 23時) (レス) id: 8018115b1b (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - あぁぁぁ！！！めっちゃくちゃ好きです！！！番外編も嬉しいですありがとうございます！！治くん甘えた可愛すぎて… (2019年9月18日 18時) (レス) id: be8945b53e (このIDを非表示/違反報告)
さかき(プロフ) - まゆ。さん» おつありです！満足いただけたでしょうか。治で書くかどうかは分かりませんが、書きたいネタはいっぱいあって私自身ワクワクしてるので、よかったらまた読んでやってください！お粗末さまでした！ (2019年9月18日 16時) (レス) id: cb48af79f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さかき | 作成日時：2019年8月9日 17時
