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銀魂高校にきて何度目かの春がやってきた。
あの時から数年経った今俺が受け持っていたz組は存在しなくなってしまった。
あの時のz組は騒がしかったよなァ、と校門前で友人と別れを惜しむ少年少女らを眺める。彼らもまた今年卒業した三年生たちだ。
最後に、俺にお礼の手紙を渡してくる女子生徒もいれば、寂しさからか俺に飛び蹴りをかましてくる男子生徒もいる中、俺は頬を緩めた。
ーーー 思い出すのは数年前の卒業式の後。
俺に「大好きです」と伝えてきた女子生徒。
俺だって一教師として、生徒を恋愛対象として見れるわけがなかった。そして何よりそんな素振りを一度も見せなかった彼女だったから「俺も
「……ったく、桜の花びらが鬱陶しいなァ」
ひらひらと舞い散る桜の花びらが俺の頭に一つ二つ乗る。鬱陶しいそれを手で払い、指でつまんで見た。
ふーっと息を吹きかけると、それが宙を舞う。
『ーーーあっ、銀八!こんな所にいた』
「お、おう」
『何してたの?』
「桜の木見てたらお前のこと思い出してよ。
ーーーA、」
俺の隣に立つAは、「ずっと桜が嫌いだった」と唐突につげた。俺がAを傷つけたのも桜の木の下だったから。「あん時ァ悪かったな」と言えば、彼女は首を振ってにっこりと笑う。
『でも、今は大好き。
ーーープロポーズしてくれたのがこの桜の木の前だったから』
「……あァ、そうだったな」
卒業してから数年後、この銀魂高校の教師として就職した彼女。「あの時、本気で恋してました」と俺に言ってきた。「今も本気で貴方に恋をしてます」と胸を張って言ってきた彼女に、数年もせず惚れたのは言うまでもなかった。
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桜の木の下で君に愛を伝えた日
「お前、俺の苗字いらねェ?」
『え?』
「さぁ、職員室に戻りましょうか。
ーーー坂田先生」
『その呼ばれ方、まだ慣れないからやめてよ』
Fin.
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あくび少女 - こんな綺麗な物語、いつか私も書きたいです。 (2019年7月20日 22時) (レス) id: 1b61770dea (このIDを非表示/違反報告)
きなこ(プロフ) - 今までどの作者さんも好きでよく拝見させていただいてました。今では、憧れから自分の小説を書いているのですが、皆さんの素晴らしさを身に染みて感じました。(宣伝みたいですね……ごめんなさい。)これからも沢山の作品を楽しみにしています! (2018年2月6日 22時) (レス) id: 6b9c59579e (このIDを非表示/違反報告)
うおーあいにー(プロフ) - 私が今まで見たことのない位の語彙力と素敵な言葉でできていました! (2017年12月9日 8時) (レス) id: 7ec2bdde97 (このIDを非表示/違反報告)
みぷ(プロフ) - 文章一つ一つが綺麗で、とっても素敵だなと思いました!表現や言葉にも意味が詰まっていてぜひ参考にしたいなと思う作品でした!次の企画があることを楽しみにしています! (2017年7月28日 18時) (レス) id: 941945c1ec (このIDを非表示/違反報告)
戦胡蝶(プロフ) - 本当に綺麗な言葉で綴られたお話ばかりで全部一気に読んじゃいました!素敵なお話ばかりで心がほっこりしてます!!素晴らしい作者様ばかりで私も見習わないとと意気込んでおります(笑)またこういう企画を行ってくださるのを楽しみにしてます! (2017年7月27日 13時) (レス) id: de5c5c0c62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しののめ x他4人 | 作者ホームページ:http://nanos.jp/aoikasou/
作成日時:2017年7月1日 1時