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騒がしいのが落ち着いたあと。
「お風呂１階と３階にあるから女の子は３階、好きな時に使っていいよ」って言われて男の子達はそそくさと代わりばんこでお風呂済ませてきて、先に葵行ってきていいよって言って今は葵がお風呂入ってる。
テレビに繋いだスマブラをトーナメント組んで戦って盛り上がってるのを横目に、初戦で手加減してくれた京本くんにボロ負けした私は食べ終わった食器やピザの箱とかを片付けようと立ち上がる。
ジャンケンで勝ってシード権を得た慎太郎くんが「俺も手伝うよ」って一緒に着いてきてくれた。
「いつもこんな盛り上がってるの？」
「うん、いつもうるさいよ俺らは(笑)」
�眞呂�んと京本くんの戦い。
「あ！�眞蓮�そこスマッシュ！」
「きょも、吸い込め吸い込め！」
やってる本人たちよりもまわりのガヤがうるさい。
「……そういや樹に“好きな子”の話したんだって？(笑)」
コレはね、水につけて畳むとやりやすいんだよ〜？ってピザの箱を畳みながら慎太郎くんに訊かれる。
急な話に思わず肩が跳ねる。
「………慎太郎くん、知ってたの？」
「ん？多分俺らの中で気づいてなかったのAちゃんだけだよ？(笑)」
「っえ？」
樹は基本みんなには何も言わなかったけど、見ててわかるもん。その“好きな子”がすごく大事なことは、って笑う。
キッチンのカウンター越しに見える楽しそうに笑ってる樹の姿に胸がきゅっとなる。
「俺が言うのもなんだし、……Aちゃんも知ってると思うけど」
「うん？」
樹、すげー変わったよね、…ていうか変わったんだよアイツ。って笑う慎太郎くん。
コップとかお皿とかスポンジで洗って、慎太郎くんがタオルで拭いてくれるから渡していく。
「…今更だけど……あの日。…ごめんね」
「……あの日？」
“あの日”はきっと、あの日。
なんとなく、わかってたけど聞き返す。
「無理にでも着いてあげてったらよかったって」
「どうして慎太郎くんが謝るの？アレは私が、」
「いや、俺も迷ったからあの時。…連絡つかなくてみんなマジで焦り始めた時、樹、電話かけながら見たことないすげー焦った顔してすぐ走ってってさ」
「……うん」
「無事にAちゃん見つかって電話来て、その次俺らと会った時、しばらくは普通にしてやってって言われた」
多分その方がA、安心すると思うからって。
…やっぱり、樹がそうしてくれてたんだ。
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作者名：なち
| 作成日時：2021年9月23日 19時
