サイレント・クンツァイト (ページ25)

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「お待たせー！はい、どーぞ！」
「ありがとう、いただきます」
「どーぞ！」

タルトをひとくち、口に入れて美味しい、と思ってたら視線を感じて

「…なあに？」
「Aちゃん最近どう？」
「最近？どうってなにが？」
「んー、いろいろ？(笑)」

特に何もないよ、元気だし毎日たのしいって言ったらならよかった！って笑う慎太郎くん。

ふと、先程のことが頭をよぎって

「あ、ねえ慎太郎くん」
「なあに？」
「樹って、好きな子いるの？」
「……どうして？」
「さっき講義室で近くに座ってた子達がそんな話してて」
「うん」
「確かに樹最近女の子と一緒にいるとこ見なくなったなあと思って」

そしたら慎太郎くんは少し笑ってうーん、って考える素振りを見せる。

「……気になる？」
「…うん、だって私こんな仲良いのに知らなかったもん」

気になる？って黒目がちな慎太郎くんのきゅるきゅるとした目で上目遣いで聞かれる。

……あの樹が好きな子出来た、なんて聞いたらみんな気になるでしょ？

ジェシーくんとか京本くんとか詰め寄って尋問しそうじゃん。

「…いるよ、樹好きな子」
「えっ！やっぱりいるんだ！」
「(笑)、知らなかったんだ？(笑)」
「そういうの、やっぱ女友達には言い難いものなのかな…」
「んー、多分そういうことじゃないとは思うんだけどね？(笑)」

まあ、いずれ言ってくると思うからそれまでは聞かずにいてあげてよ、って言われる。