サイレント・クンツァイト (ページ24)

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とある日。

唯一誰とも被ってない講義で近くに座ってた女の子達の会話が耳に入る。

「樹くんさー、なんか好きな子出来たっぽい」
「そうなの？」
「全然相手してくんなくなって、理由聞いたら濁されたけど多分、てか絶対そう」
「マジか(笑)アンタ遊びでもよかったんじゃないの？(笑)」
「…遊びでも良かったけどやっぱ本命ワンチャン狙ってた」
「バカじゃん？(笑)樹くん本命とか作んないでしょ(笑)」

確かあの子、前によく樹のこと講義終わり迎えに来てた子だ。

……そうなの？樹好きな子できたの？

知ってる名前に、知らない話。

盗み聞きなんて良くないと思いつつもわりと大きめな声で話してる女の子達の会話はしっかりと耳へ届く。

………確かに樹、いつの間にか出会った時と比べて女の子と一緒にいるの見かけなくなったな。こんなに仲良いのに気づかなかった。盗み聞きした信憑性のない話なのに、思い当たる節があって腑に落ちてしまう。

知らない話にちょっと落ち込みながらも講義受けて、次の講義までの空きコマでカフェ行こう、と歩いてたら

「あ、Aちゃんだ〜！」

後ろから声かけられて振り向いたら同じく講義終わりっぽい慎太郎くん。

どこ行くの？って聞かれてカフェ行くよ、って言ったら俺も一緒してい？ってニコニコ聞かれて一緒にカフェへ行くことに。

カフェにはちらほら学生がいたけど、空いてて窓際のテーブル席に座る。

今日は特別にシンタローくんが奢ってあげちゃう！ってカフェラテとイチゴのタルト買ってくれた。

慎太郎くんはカフェラテとミルフィーユ。

いいよ払うよ！って言ったらこういう時は甘えときなって！って肩ぺしぺしされて、先に席座ってて！って背中押されたからありがたく席に座って待つことに。