60.怖さの正体 ページ12
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ジョングクは怖いよ、とだけ答えた。
それから頼んでいたケーキがきて、話が有耶無耶になったまま会話が途切れる。
それから何となく踏み込むことが出来ないまま、二人で並んで帰った。
｢――どうしたの？ ぼんやりして｣
今日はみんながそれぞれ用事で居なくて、水彩荘にはソクジンさんと私とジョングクとおばあちゃんの四人だけが居た。
中庭のオリーブの木の下で、ぼんやりとスマホを片手に木を眺めていると、コーヒーを片手にソクジンさんが話しかけてくる。
｢ジョングクのこと？｣
｢……なんで分かったんですか？｣
｢まあ、分かるよ。ジョングクもAちゃんも分かりやすいから……みんなは気づいてないと思うけど……あ、ナムジュンあたりは察してるかも｣
穏やかに笑って椅子を持ってきたソクジンさんが隣に座る。
空を見上げると星が綺麗に光っていた。
｢話してみたら？｣
｢……いいんですか？｣
｢解決になるかはわからないけど、大体こういう時って考えすぎてるパターンが多いし｣
こう見えて口は固いんだとソクジンさんは笑った。
私はその言葉に一瞬躊躇う。話していいのか、上手く判断が出来なかったから。
でも、もうごちゃついた思考が溢れ出してきそうでいっぱいいっぱいだったのも確かで。
気がつけば｢私、怖いんです……変わっちゃうのが｣と口を開いていた。
｢怖い？｣
｢はい……今の感じが心地よすぎて、変化するのが怖いんです。変化というか……踏み込んでいくことが｣
本当は、自分が一番何を恐れているかなんてことは分かっていた。
｢私は、多分ジョングクが好きです。好きだし、一緒にいたい……でも、それと同時に怖いんです。ここから一度踏み込んだら、もう友達には戻れないし、今みたいな話とかも出来なくなるから｣
｢うん、そうだね｣
｢お母さんとお父さんも小さい頃はすごく仲が良かったけど、喧嘩が増えて、別れちゃったから。大事にしていた人でも、簡単に嫌いになれることを知ってるから｣
永遠に幸せでいることなんて、出来ない。ジョングクの言葉に頷くことで、終わりの存在を意識することが怖い。
｢大事な人を決めてしまったら、期待しちゃうから、裏切られた時が怖いんです｣
私はそう一息に言うと、静かに口を閉ざした。
――これが、私の怖さの正体だ。
ソクジンさんは穏やかに私の話を聞いて、そして僅かに口元を緩める。
｢Aちゃんって、思ったよりもすごく好きなんだねえ……ジョングクのこと｣
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おけ(プロフ) - ここまで1日で読みました‼︎このお話大好きです！応援してます！ (2022年2月8日 23時) (
レス) @page40 id: a8986157d1 (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - はるさん» ありがとうございます〜！デビュー当時辺りを想像して書いてました 楽しんでもらえて良かったです！また気が向いたら続きも書くので、よろしくお願いします^^* (2020年2月7日 9時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
はる - ひゃ〜〜この作品は大好きで何度も読み直しているので、新しいお話嬉しかったです！なんとも守ってあげたくなるまだまだあやふやなグク、、主人公ちゃんと出会って、お互いを好きになれて本当に良かったなと思いました！これからも応援しております！ (2020年1月29日 2時) (レス) id: 75eff8e160 (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - じみちむさん» ありがとうございます´`* ちょいちょい書き足していきますので、また読んでください〜！ (2019年8月29日 22時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
じみちむ(プロフ) - 番外編も最高でした♪( ´▽｀) (2019年8月26日 17時) (レス) id: f91208f58d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sai
| 作者ホームページ：https://twitter.com/xxx___sai/
作成日時：2019年6月9日 16時
