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「どうだ、少しは慣れてきたか」
土方は額の汗を拭いながらAの背後から声を掛ける。
真選組の稽古に参加するようになって早ひと月である。
『お陰様で』
「万事屋の送迎も板に付いてきたな」
『相変わらず暇みたいで...』
困ったような顔の彼女に「ははっ、」と笑う土方。
笑い事ではない。
『今は此処での収入が頼りなので、クビにしないでくださいね』
「今の働きならそりゃ無ェから安心しろ」
それを聞くとAはふわりと笑った。
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「A〜、迎えに来たぞ〜」
間延びした声にそこにいる誰もが振り返り、そして時計をみる。
稽古終了時刻ピッタリ。
時間にだらしないあの坂田銀時が出入口付近に立っているのだ。
「............、手前ェ等今日はここまでだ」
土方のその一言で隊士達は「「お疲れ様でした」」と声を揃え、各々解散する。
Aもまた、同じように『お疲れ様でした』と挨拶し銀時の元へ行こうとした所土方に引き止められた。
「A、明日から暫くは来なくていい」
『えっ? クビですか?!』
「違ェよ、さっきしねぇって言っただろ」
戻って来ないAに銀時は道場へと足を踏み入れ、2人の元へと寄ってくる。
その存在に気付いたAは不安そうに銀時を見上げる。
「何、どうしたの」
「高杉の情報が入ったから暫く稽古は休止なんだよ」
「討ち入り?」
「どう動くかは向こう次第だ」
一時的とは言え、いきなりの失業に顔を青くするAとは裏腹に銀時は何処か嬉しそうにニンマリ笑う。
「じゃ暫くは一緒に居られるって事だ」
『銀ッ、』
伸し掛る様に彼女の肩へと腕を回してそう言う銀時は満足気で機嫌が良い。
Aはと言えば銀時の台詞に若干顔を赤くして恥ずかしさから離れるように押し返したが女の力でどうこうなるものでもなかった。
「イチャイチャすんな、さっさと帰れ」
眉を顰める土方と「「そーだそーだ!!」」なんて野次を飛ばす隊員達に2人は言われた通り道場を出て行った。
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アカツキ(プロフ) - 〇〇さん» 初めまして、コメント有難うございます。そのように言って頂けて嬉しいです。パスワードの件ですが、現在全ての作品に置いて鍵の掛かっている作品は非公開とさせて頂いています。公開の予定もパスワードをお教えする事も出来ません。申し訳ありません (4月14日 9時) (レス) id: 7588857b81 (このIDを非表示/違反報告)
〇〇(プロフ) - すごくよかったです 読んでてドキドキしてなんかもう最高でした!! あの質問なんですけどパスワードがかかってる小説あるじゃないですか、その、パスワードって教えていただけますか? (4月14日 7時) (レス) @page44 id: 6c4944cbd5 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - 蘆花さん» 初めまして、コメント有難うございます。既に完結の目処も立っておりますので最後まで楽しんで下さると嬉しいです (2023年3月28日 12時) (レス) id: 59cea801ed (このIDを非表示/違反報告)
蘆花(プロフ) - やだステキ応援してます! (2023年3月28日 12時) (レス) @page11 id: bf60b993eb (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - 東雲さん» コメントありがとうございます。出会いについてはこれから少しだけ書けたらなと思っておりますので楽しみにして下さると嬉しいです (2023年3月27日 19時) (レス) id: 61673d253f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アカツキ | 作成日時:2023年3月25日 20時