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「らっしゃっせー!!」
『3番卓ご案内でーす!』
夕刻が近付くと仕事終わりの人達が後を絶つことなく入店してきて、店内は一気に騒がしくなった。
「親父〜、空いてる〜?」
『はいストップ。銀時は溜まったツケを払ってください』
「入店早々嘘だろ、Aちゃん?」
口元をひくつかせ表情を固める銀時をAは数秒睨んだが、直ぐに笑ってみせる。
『期待してないよ、ほら、カウンターなら空いてるから座ってください』
「笑えねぇよ...」
『でもツケはちゃんと払ってね』
「はい......」
釘を刺された銀時はしょぼしょぼとカウンター席へ座り深い溜息を吐き出した。
何だって来店一発目でこんな気分にならないといけないのか。
自分が悪いのだから何も言えないのだが。
そんな2人のやり取りを見てた店長がカウンター越しのキッチンで笑っている。
「笑い事じゃねぇんだけど」
「いやぁ、しっかりしてるよねAちゃん」
「ありゃモテねぇぞ」
『聞こえてるよ』
空になったお盆が銀時の頭にクリティカルヒットし、彼は「痛ェッ!!」と声を出す。
そんなに強く叩いているわけじゃないと誰が見ても分かるが大袈裟なリアクションに周りも恒例かのように笑った。
「はははっ、まるでおしどり夫婦だなぁ!!」
なんて事を言うのかこの人は。
Aも銀時も二人してすごい顔をした。
「誰と誰がおしどり夫婦だって?」
別の声が背後から聞こえてきて、Aはバッと振り返る。
そこには着流姿の土方が居る。
「土方さん、いらっしゃい」
「悪いね、今混んでて...カウンターなら空いてるよ」
「嗚呼、いや、構わねぇよ」
「喧嘩しないでね」
「お酒は楽しく仲良く飲むもんだよ」
そう言うのは隣の席に銀時が居るからで、2人は目を合わせると早速嫌な顔をするのだった。
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アカツキ(プロフ) - 美姫さん» コメント有難うございます。登場キャラの想いが交差してぐちゃぐちゃに絡まるような、そんなお話にしたかったのですが難しかったです... 最後まで読んでくださり有難うございました (2023年2月12日 10時) (レス) id: 359e2a8a6b (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - 切なくて切なくて、でもとても美しい作品で、涙が止まりませんでした。本当に最高の作品でした。ありがとうございました。 (2023年2月12日 7時) (レス) id: ac5aee6225 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - おひなさん» 初めまして。コメント有難うございます。土方さん落ちは久々だったのでこれで良いのか迷走しましたが、おひなさんの暖かい言葉に救われました (2023年2月9日 7時) (レス) @page49 id: 359e2a8a6b (このIDを非表示/違反報告)
おひな(プロフ) - 最っ高な作品をありがとうございました!終始涙腺崩壊でした!w (2023年2月9日 2時) (レス) @page49 id: fb3fd917e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アカツキ | 作成日時:2022年12月27日 23時